平成5年 Tessarと天保山ほとがら散歩

平成5年のことだった。

いままで数多くの一眼レフ用のレンズを見てきたが、そのレンズの大きさには常々辟易していた。とくに父から「これはプロ用のカメラだから大切に使いなさい」と譲り受けたNikonFフォトミックとニッコール5.8cm/f1.4の組合せは、比べるものなく長年大切に使い続けていたが、最近その大きさと重さに疑問を感じるようになった。確かに写りに不満はないが、アマチュアはアマチュア用のコンパクトで軽量のカメラやレンズがあるのではないかと・・・。

そんな中、カメラ店で見つけたCarl Zeiss Tessar 45mm/f2.8の際立ったコンパクトさには瞠目させられる思いがあった。またTessarは、3群4枚のシンプルなレンズ構成だが誕生から100年近く現役であることから判るようにその信頼性が高い名玉である。

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                       Tessarのレンズ構成

このレンズを使うには、カメラのボディがContaxでなくてはならず、その値段の高さが邪魔をしてCarl Zeissのレンズを身近にすることは叶わなかったが、平成5年10月このレンズが使える安価なマニュアルカメラ Yasica FX-3 SUPER が発売されたので、一緒に手に入れることが出来た。

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     Carl Zeiss Tessar 45mm/f2.8 定価¥37,000- 購入価格¥27,000-
     Yashica FX-3 SUPER       定価¥24,800- 購入価格¥16,000-

 レンズより安価なカメラとはどんな関係になるのかと疑問を持ちながらも・・・その軽さと、電池がなくてもシャッターが切れるマニュアル機の信頼性と余計なものがついていないシンプル性がストレスをもたらさないのが嬉しい。



そうなると、早く使ってみたいのが人情ということで、次の休日である平成5年10年 日このペッタンコのパンケーキレンズの試写を兼ねて、天保山界隈をぶらりとフォト散歩に出かけた。

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有人改札時代の南海高野線・西天下茶屋駅

(前回からのつづき)

驚愕の木津川駅を満喫した後は、銀輪をさらに南に向かわせる。

津守駅は、カメラを向ける気をも喪失させるが如き味気なきものにして、流し目のみにて通過す。

次の西天下茶屋駅は、堂々とした近代建築。戦前のモダン建築の芳香を色濃く残している。

入口ヒサシのデザインやその上にある光取窓など南海らしさが感じられる。

        19930918南海西天下茶屋・木津川481-1

ただ、駅舎の前の道路が狭く、バックすると両脇がカットされてしまうのが残念なところである。

19930918南海西天下茶屋・木津川482-1

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平成5年9月 驚愕の南海高野線・木津川駅

過日、南海高野線の汐見橋駅から岸ノ里玉出駅までのショートトリップを楽しんだが、その車窓から気になる風景があったので、別の日にその気になる場所をパトロールすることとした。

ただ、電車だと途中下車すると次の列車まで、20分は待たなければならず、この晩夏の季節では屋外で待つのは少々辛い。

そこで地図を見ながら、しばし考えたが、渡し舟を利用すると、自転車でもさほどの距離にはならないことが判った。

平成5年9月18日、思い立ったが吉日、まだまだ残暑厳しい日ではあったが、カメラと地図帳をチャーリーの前カゴに放り込んで出かけたのだった。

19930918南海西天下茶屋・木津川383-1

港区福崎からは、尻無川の“甚兵衛渡船”を利用して大正区泉尾へ

僅か1分の船旅だが、生活の足として利用者は多い。

19930918南海西天下茶屋・木津川384-1

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(思えば、この撮影から20年が経ている・・・乗船客の女子高生も立派なマダムになっているだろうし、自転車の女の子も今では大人の仲間入りだ。)

大正区に到着するとほぼそのまま真東に銀輪を進める。1.6kmほどで木津川の“落合上の渡船”に到着。

19930918南海西天下茶屋・木津川387-1

木津川には、尻無川同様、大きな可動式水門があるが、これはそもそも高潮対策で設置されたものだ。しかし設置後さほどの高潮に見舞われることがなかったため本領発揮する場面がなかった。

しかし東日本大震災以降は、高潮より津波対策として頼もしい存在となったいる。大正橋のたもとにある石碑“両川口津浪記”に記された津波の被害を考えるとこの水門の役割の大きさがおのずと判るというものだ。

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大阪市営地下鉄開通50周年記念復刻ポスター(後編)

前回からのつづき・・・

ポスター(その4)
復元・なんば開通-1

前回記事の梅田本駅の開業から僅か1ヶ月足らずで心斎橋~難波駅の延伸工事が完了し、
昭和10年10月30日難波駅が開設した。

これは、その時のものである。

当時の難波駅は島式1面2線の地下駅で、それまでのドーム型の壮麗なホームではなく天井の低い箱型のホームであった。これはホームと地上との間の空間を地下商店街として利用しようと計画したとの事だ。


大阪市の宣伝映画「大大阪観光」の4分08秒あたりにこのポスターが車内吊広告として一瞬だけ登場する。




梅田・難波間の駅は、利用者が車中から一瞥して見分けられ、その利用の便に資するように壁面タイルの色調を駅毎に変えていた。

   梅 田 : 薄橙色
   淀屋橋 : 水色(土佐堀川の水面)
   本 町 : アズキと抹茶色(北御堂のお供え物)
   心斎橋 : 薄桃色(ミナミの盛り場)
   難 波 : 黄 色

※梅田と難波の色調の理由は不明であるが、この当時ともに終点ゆえに乗客に乗越し注意を喚起する必要なかったためか?

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汽笛一聲・阿房列車

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何カノキツカケガアレバ汽車ノ事ヲ一所懸命ニ記述シテヰル。子供ノ時ノ汽車に對スル憧憬ガ大人ニナツテモ年を取ツテモ抜ナイノデアラウ。


DSC01281切符


 阿房(あほう)と云ふのは、人の思わくに調子を合はせてさう云ふだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考へてはゐない。
 
 用事が なければどこへも行つてはいけないと云ふわけはない。
 なんにも用事がないけれど、汽車に乘つて大阪へ行つて來やうと思ふ。   
    ・・・内田百閒「特別阿房列車」


        

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長崎の鴉・・長崎阿房列車

段段車窓が薄暗くなり、汽車が次第に濃ひ夕闇へ走り込んで行く時に聞く汽笛の響きは、鼻へ抜けたかさ掻きのやうな電氣機關車の聲よりも、蒸氣機關車の複音汽笛が旅情に相應しい。


          


  いつの間にか窓が眞暗になり、窓硝子に響く汽笛の音が、蒸氣機關車C62の複音に變つてゐる。


          
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