初めての“東武博物館”
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7月30日東京スカイツリーを初見学したあと、東武の業平橋駅から2駅乗車して「東向島駅」で下車する。

そこには、レアな車輛が展示してあるオタクの殿堂“東武博物館”があるのだ。

東武電車の高架下という狭隘な場所であるが、小生にとっては垂涎モノの貴重な車輛が大人200円で一日中楽しめる楽園であるうえに、去年7月にリニューアルオープンしたばかりなので、自ずと期待度がアップする。

クーラーの良く効いた館内で最初に目に飛び込んでくるのは、東武鉄道を代表するSLピーコックだ。
これは、明治31年に英国のベヤーピーコック社から輸入した12輛の機関車のうちの一台で、
昭和40年まで現役で活躍していた長寿の機関車である。

赤く塗られた半円の名板には、BEYER. PEACOCK & Co.Ltd, MANCHESTER,1898 とある。
このランボードが途中で斜めになっているところが何とも堪らない魅力!
明治期の数ある輸入機関車の中でも最も美しい機関車といっても過言ではないだろう。
典雅の極みなり♪

またこの横にある正面5枚窓の木造電車であるモハ1101(デハ5)もいい感じ。
これは、南海・近鉄にあった同様の車輛と比べると洗練されたスマートさはないが、無骨な感じがこれまたしみじみとした趣がある。

古典車輛の特徴ともいえる室内のWルーフの具合も完全に復元されている。


子供たちに囲まれて、古典車輌たちも楽しそうだ。
中庭に出ると、出たあ! 憧れのネコヒゲ電車だ!

これも他に類を見ないユニークな全面デザインをもった特急車輛
近鉄の10000系のイヌ顔と対比させると面白いかも。

サイドの塗り分けもスピード感溢れる斬新なものとなっている。

貫通面に改造されていたものをオリジナルに戻したため、運転席の内部を緻密に復元することまでは手が回らなかったようだ。
しかし、事務用のような固定していない丸椅子で運転できたのだろうか? 少なくとも関西ではこんな椅子は見ないなあ。



現役時代の5700系(昭和61年11月3日鬼怒川温泉駅にて)
それと東武開設当時の電気機関車も博物館リニューアルを機に、近江鉄道のED4001を里帰りさせてオリジナル塗装に戻されている。


近江鉄道時代のED4001の姿は、以前ブログ記事“急行かすがの車窓から・・その2”で撮影していた。

(昭和48年8月8日彦根駅にて)
1720系デラックスロマンスカーは、前半分だけが屋外に保存されている。

余り状態は良くないが、竜頭のような正面をもつ東武鉄道のデザインには、洗練というよりやはり無骨さを感じるね。

現役時代のデラックスロマンスカー(昭和61年11月3日鬼怒川温泉駅にて)
東武鉄道のCMソングが聞こえてきそうだ♪
「東武ロマンスカー」
♪ 走る走る東武 乗ろうよ東武のロマンスカー
幸せの夢 みんなの夢乗せて
行こうよ 日光 鬼怒川へ
ノンストップでつっ走れ ♪
また、レアモノ東武日光軌道線(昭和43年廃止)の連接車輛も保存してある。


これらは話には聞いていても目の当たりにするのは初めてであり、また車内に立ち入れるところが何とも嬉しいところだ。

連接部分から車内を見渡す。

他にも紹介したい車輌がいっぱいあるのだが、紙面の関係で割愛した。
レアな車輌を堪能できて、鉄分満タン状態となったので、時間も限られているし、ここらで博物館を後にする。
再び、東向島駅のホームに立つ

おやっここは昔は「玉ノ井」だったのか・・・荷風先生がこよなく愛した下町の私娼街があった場所なのか。
どおりで、町並みの雑然さなどが離れ難き雰囲気を湛えていたわけだ。

この列車で浅草に出る。

デパートの中に鉄道ホームをもうけるという関西型ターミナルの東京版第1号である東武・浅草駅は、南海難波駅を手がけた久野節の作品(昭和6年築)
その松屋の中央階段には、スカイツリーの大林組の広告がデカデカと表示されていた。
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Comment
2010.08.07 Sat 10:28 | 荷風の愛した街
良いレポを有難うございます。1720系が頭だけしか残されていないのがチト残念ですね。でも、縦に並んだ前照燈のデザインは仰る通りの「無骨さ」があり、カッコいいです。
それにしても「東向島」の駅名票にしっかりと「旧玉ノ井」と記されている事に驚きました(丁度一時期阪神の「香枦園」の駅名票の”枦”の字の上に”櫨”と括弧つきで記してあったのと同じでしょうか)。高校生の頃個人的に民俗学に興味を持って勉強した事があり、大阪市立図書館に昭和30年ごろの東京の赤線街の風景を収めたビデオがあったので興味深く閲覧したのですが、8ミリフィルムに記録された玉の井の町並みはまさに濹東綺譚の世界そのままでしたね。
50年経って町並みも激変しているでしょうが、東武博物館には是非とも土の匂いのする雨の日に行ってみたいものです。
- #bYLHBN/g
- 淡島八景
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2010.08.07 Sat 20:07 | *淡島八景さん こんにちは
ここは、以前から訪れたいと思っていた場所だけに今回実現できてとても喜んでいます。
大好きなピーコックにも逢えて大満足でした。
近くには江戸時代から続く向島百花園もあり、荷風先生の足跡をたどりつつもう少しタウンウオッチしたかった場所ではあります。
また民俗学については、昔のことですが、柳田國男門下生の千葉徳爾さんにいろいろ手解きをうけたことが懐かしく思い出されました。
2010.08.07 Sat 20:18 | 向島
博物館の近くの東向島三丁目まで国道6号線沿いに都電が走っていました。
あのあたりは1945年3月の空襲でひどく焼けています。
おそらく荷風の頃とは違うと思われます。
向島の話なら、
http://homepage1.nifty.com/sassy/
のBBSにでも書き込んでみてはいかがでしょうか。
ときおり「なにわ」というものが書き込んでいますが、気になさらぬように。
奈良の色街の話は色々と聞いたのですが,いずれ直接あったときにいたしましょう。
- #JyN/eAqk
- なにわ
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2010.08.07 Sat 23:09 |
民鉄がこういった博物館を持つことに意義を感じるとともに、大変素晴らしいことだと思います。関西の鉄道会社は、こういったものを保存することに対し、どうも消極的なように感じます。南海などが、こういった博物館を持っていたなら、本当に素敵だと思うのですが、すでに古の車両が全く残されておりませんので、期待薄ですね。
2010.08.08 Sun 00:19 | *のりさん こんばんは
同感ですね。
宝塚ファミリーランドもなくなってしまった今、各車庫内で、個別に車輌が保存されている程度で常設館とはいえないところが寂しいです。
ただ、往時の鉄道施設として駅舎の保存に力を入れている南海には敬意を表するところ大いにあると思っています。
2010.09.04 Sat 15:16 |
東武博物館はなかなか面白いところです。この手の施設としては、かつて阪急が宝塚ファミリーランドの中に電車博物館というのを持っていて一度見学しました。今は正雀工場内になって、一般公開はしてないのですよね。
2010.09.06 Mon 07:09 | *Cedarさん こんにちは
東武は、このような鉄道博物館をもち一般市民に開放していることは素晴らしいことだと思います。関西私鉄のなかでも阪急は宝塚ファミリーランドの中に電車博物館というものを持っていましたが、今は敷地売却にともない、常設の博物館を持っていないのが残念でなりません。
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