平成2年 平成の千曲川スケツチ

/平成2年11月14日些かなる出張の命ありて長野縣北佐久郡望月町なる地處に赴く。

望月町といへば、古城のほとりなる小諸より旧弊たる路線の乘合自動車にて、思はるる以上の時間揺られざれば到着できぬ箇所なり。

よつて大坂より陸路を辿るれば、だうしても日歸り不可能と相ひなる。

此のご時世、札幌や那覇にても大坂から日歸り可能也といふに、其れより頗る近き信州・北佐久の某町へのそれが叶わぬとは、何とも理不儘なる心地こそ憶ゆれ。


尾州名古屋迄は新幹線にて出向かんとす・・・/


1990小諸行310-1

新大阪駅にて


平成元年7月から団体専用列車として登場した“トワイライト・エキスプレス”であるが、同年12月一般夜行列車として通常スジに登場した。

豪華寝台特急列車の登場とあって、世間の注目を浴びたのだった。

EF81-103


1990小諸行311-1

最後尾の展望車のスロネフ25は、列車後方展望を満喫できるリビングのほか、ダブルベッドを備えた寝室などがある。

その豪華さに衆人の耳目を集めたが、この写真もその登場当時のものである。

ただ、初期タイプは、この写真のように“のっぺり”としたデザインであったが、雨天時には天井から垂れた雨滴で視界が遮られてしまうことが多かったため、この後に窓周りに雨滴除けをトイを取り付ける改造がなされている。


中央西線を経て篠ノ井からは信越本線で小諸に向かう。

1990小諸行316-1

信越線上田駅 上野行き特急「あさま」

1990小諸行312-1

上田交通別所線の楕円形窓で有名な往年の名車が1輌だけ駅構内に留置されていた。

丸窓のほかに、おわん形ベンチレータやターンバックルとトラス棒がなんとも味のある風情を伝えている。

1990小諸行314-1

モハ5253

その後モハ5253は、上田駅の高架化工事のため中塩田駅の留置線に回送され放置されていたが、平成17年に長野計器㈱が引き取り、丸子工場で静態保存されている。




1990小諸行315-1

こちらは上田交通の現役車輌たち・・・出自は知れた東急の“アマガエル”なり。

この日は、小諸の中棚鉱泉という老舗の温泉宿に投泊する。

(この当時、インターネット検索という手法はなかったので、大型時刻表の末尾にある日本観光旅館連盟会員のリストから選んだものだった。)

ここは、藤村ゆかりの純和風の古い木造旅館で、旅情豊かにして実に味わい深いものだった。

リンゴがいっぱい浮かんでいる「りんご風呂」と夕食の御膳に上った佐久鯉の「鯉こく」の旨さは忘れられない思い出である。


・・・・・・・・・・・


とりあえず翌日は、無事に仕事を済ませ、再び車中の人となる。

とにかく帰るだけなので、ちょっと屋代で途中下車してみた。

1990小諸行319-1

そこには、鉄道模型のジオラマの如きシーンが待っていた。

信越線屋代駅にて

長野電鉄・屋代線

1990小諸行317-1

モハ1502

くどいほど駅名が書かれたホーム柱が面白い


1990小諸行318-1

・・・今となっては、追憶の屋代線であるが、後日もう一度訪れることとなる。



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Comment

2012.12.03 Mon 14:15  |  

望月は中学の修学旅行の際、観光バスで通過したことを覚えています。
もう、三十数年も昔の話ですが。
トワイライトの濃緑のボディはある意味衝撃でした。軍用車両かと思いました。
最近やっと慣れましたが。

  • #-
  • サットン
  • URL

2012.12.04 Tue 07:19  |  *軍用車両ですか!

確かにオリーブ色は、陸軍カラーですよね。ライカM3のオリーブカラー仕様などは驚くような値段で取引されています。トワイライトのガタイのでかい車両だけに大型戦車か大型輸送車両のように見えなくはないです。かつてスロネフ25のベットの中から拳銃が見つかったというニュースがありましたが、とにかく平和利用に限定してもらいたいものです。

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長崎の鴉・・長崎阿房列車

段段車窓が薄暗くなり、汽車が次第に濃ひ夕闇へ走り込んで行く時に聞く汽笛の響きは、鼻へ抜けたかさ掻きのやうな電氣機關車の聲よりも、蒸氣機關車の複音汽笛が旅情に相應しい。


          


  いつの間にか窓が眞暗になり、窓硝子に響く汽笛の音が、蒸氣機關車C62の複音に變つてゐる。


          
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