有人改札時代の南海高野線・西天下茶屋駅
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- 07:00
- ∇鐵道ほとがら帖/平成編 - ├平成元年-平成5年
驚愕の木津川駅を満喫した後は、銀輪をさらに南に向かわせる。
津守駅は、カメラを向ける気をも喪失させるが如き味気なきものにして、流し目のみにて通過す。
次の西天下茶屋駅は、堂々とした近代建築。戦前のモダン建築の芳香を色濃く残している。
入口ヒサシのデザインやその上にある光取窓など南海らしさが感じられる。

ただ、駅舎の前の道路が狭く、バックすると両脇がカットされてしまうのが残念なところである。


汐見橋方面は踏切を渡って完全に独立している対面ホームから乗降する形式となっている。

そのホームにも改札口があり、列車の到着時刻となると駅員が出札口から現れて、改札口に立つ。

鉄道の改札口というものは、全国何処に行っても同じ風景が見受けられたものだ。
しかしながら現在となってみると、自働改札が導入された都市部では、“消失した日常風景”のひとつである。
この西天下茶屋駅の踏切脇に、かなり年代モノの交番があった。
入口上部の赤球電灯も割れて存在しないし、内部もかなり状態は悪そうで、この当時でもすでに使用されていない雰囲気が漂う建物だが、いやはや何とも味わいがある。

大きく目立つ“POLICE BOX”の文字がお洒落だ。
進駐軍が利用していたような雰囲気が漂う逸品である。築年は1940年代ではなかろうか・・・。

入口脇の木製立看板は何と書かれているのかは判読不明だが、傍らの駐車禁止の張り紙には「中津守派出所」の文字がある。
再チェックしたわけではないので判らないが、現在ではもう存在しないのではなかろうか。
ついでながら、もうひとつ味わいのあるPOLICE・BOXをご紹介しよう。
これも同じ年に撮影したもの。
場所は全く違うところである大阪市中央区の西横堀川跡沿い(旧町名:横堀)である。
ビルの谷間にひっそりとたたずむ「横堀警ら連絡所」
こちらは軒先の赤球電灯は健在のようだ。

扉や窓がアルミ製に改築されてはいるが、こちらは、さらに年代が遡るだろう。
スクラッチタイルを用いた四角いデザインと軒の三角の装飾から観ると、築年は、昭和の戦前までは十分に遡ることができよう。さらに遡って大正年間製のものかも知れない。
凛とした姿がかっこ良かったのでカメラを向けたのだが、これもまた現在ではその姿を見ることは叶わない。
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Comment
2013.05.17 Fri 07:17 |
西天下茶屋は、汐見橋線の中では、比較的利用客の多い駅だったように思います。
瀟洒な洋風建築の駅舎は、岸里や玉出・高師浜などと共通するデザインで素敵ですね。
汐見橋線、貨物輸送が盛んだった頃は、きっと賑わっていたことでしょう。
2013.05.19 Sun 11:26 | *のりさん こんにちは
この駅の界隈は、商店街がひろがっていて賑わってました。上りホームと下りホームが完全分離型となっていますが、昔は踏切に並行して通路があって構内で行き来できたのではなかろうかと思われてならないのです。
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- FUZZY
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2023.07.25 Tue 09:22 |
おはようございます。
南海の駅舎はお洒落なものが多いですね。
失われてしまったものも多いのだろうと思いますが、建築時に意思をもって建てたのだろうと感じさせられるものがあります。
今に残るこちらの駅も、新しくできたときには町の顔だったのではないでしょうか。
今では地域から取り残されてしまったような汐見橋線ですが、期待に満ちて忙しかった時代の残照のようです。
2023.07.27 Thu 05:31 | *風旅記さん こんにちは
南海の駅舎のデザインについては、今でもユニークなものが多いですね。
阪急なども昔はお洒落なデザインのものが見受けられましたが、さっさと建替えられてしまいました。南海の駅舎のデザインに特別なものを感じる原因の一つは、速やかに建替えず戦前の駅舎を騙し騙し使っているという企業風土にあるのかもしれませんね。
- #UXr/yv2Y
- fuzzy
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2023.07.28 Fri 15:07 |
お返事くださいましてありがとうございます。
関東では車両は新車を投入して置き換えるケースが多くなり、関西私鉄の手を掛けて長く車両を走らせる文化と対極化しているようにも感じます。
特に、近鉄と南海は半世紀前の車両も第一線で活躍していると思いますので、財政とともに企業風土の違いも大きいのだろうと思います。
駅舎ひとつにもそのような違いが現れているのかもしれません。
趣味的には本当に興味深いことです。
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