東広島酒蔵めぐり(その4)
平成26年9月7日(日)は、かんぽの宿竹原で目覚める。
午前4時に起きて、真っ暗の中周囲を10Kmほどジョギングしてきた仲間もいるが、その余は、暗闇の中田んぼのカエルの大合唱のような状態が一夜中続き、翌朝を迎えた。
寝覚めの温泉浴は頗るごちそうである。
しかる後湯上りのビールを飲みつつ、TVが映し出す錦織圭が全米テニスでの準決勝突破を報じるニュースに、一斉に驚嘆の声を上げた。
それはさておき、朝食はバイキングであったが、バッテラやちらし寿司も登場する豪華版。
あれこれと海の幸を堪能して宿屋を後にする。
本日の最初の訪問地は、昔の町並みを残す竹原である。

この9月29日からスタートするNHKの連続テレビ小説「マッサン」の、主人公のモデルとなるニッカウヰスキーの創業者「竹鶴政孝」氏の生家がこの竹原にある。
すでに道の駅などでは過熱気味なアピールとなっている。
町中千載一遇の好機を何とか物にして、町興しをしたいと考えているようだ。

こちらは、本来の観光協会のポスターのようだ。

その生家は、昔の風情が残る町並み保存地区の中ほどにあった。

生家は、小笹屋を名乗る造り酒屋である。

店舗の中は、昨日訪ねた西条同様の醸造元の風情が残っている。

いまでも清酒「竹鶴」を製造販売している。


しかしながら、その中には、すでにNHK「マッサン」の看板が設置されていた。
店内には、純米のカップ酒など魅力的なものが販売されていたが、お客が多く狭い店内が混雑しており、入手は断念する。
街中の別の店舗では、案内係を買って出ているオヤジさんも、「9月29日から始まるNHKの・・・」と声高にアピールしている。

これは、歴史民族資料館。もともとは昭和4年にできた町立竹原書院図書館である。
展示品により、池田勇人と竹鶴政孝の二人が竹原の出身である人が判った。

その後も初代の郵便局後などを見て回ったが、予定していた時間を使いきれずに、仕方なく呉線の竹原駅に行くこととする。


次は尾道に行くつもりだが、なんと10時台の列車は全くなく、11時15分の三原行きまで待合でとどまる。
キオスクは休日は閉鎖している有様で、駅前にはコンビニなど全くなし。自販機にはビールはない・・・旅人には少々辛いシチュエーションなり。


三原で12:03発の岡山行きに乗り換え、尾道到着は12:13
予定では、竹原であなご飯を食べる予定だったが変更し、尾道の駅構内にある櫻屋で「尾道ラーメン」を昼食とする。


尾道ラーメンの特徴は、イリコ出汁ベースの鶏がらスープの醤油味で、大きな豚の背脂ミンチがスープに浮かんでいることか。
あっさりスープながら背脂によって腹持ちがよさそうだ。全員1杯のラーメンだけで昼食終了(ビールを除く)。

現在の尾道駅(上)と昔の尾道駅(下)
こうして比較してみると、改修された現在の駅舎は、昔の意匠を承継しているのがよくわかる。


向島への尾道水道を頻繁に行きかうフェリーの姿を見ると、尾道に来たという実感がわいてくる。

海岸に沿って東に向かうと、「おのみち映画資料館」がある。


尾道ゆかりの「東京物語」など小津安二郎の作品を中心とした展示品が並んでいる。その他の映画に関するポスターや資料も豊富で、シネマ好きには退屈しないところだろう。

また、訪問時には、2階の特別スペースで日本最初のアニメ映画「くもとちゅうりっぷ」にかかる資料が展示解説してあった。
原作者の横山美智子氏が尾道出身ということから力が入っているようである。

「くもとちゅうりっぷ」セル原画
また、同アニメのセル原画の展示があり、モノクロでもセル画は色つきなんだと、初めて気がついた次第なり。

おのみち映画資料館を後にし、近くの「おのみち歴史博物館」にも立ち寄る。
この建物は、旧尾道銀行本店の建物であるが、尾道にはほかにも第六十六国立銀行があった。
その銀行は国立銀行なので、各行紙幣を発行していたのだ。

これが「水兵一円札」といわれるもの。(おのみち歴史博物館のパンフレットから)
いくつもある国立銀行が発行していたので、現存数もそれなりにあるが、第六十六国立銀行発行のものは、極めて珍しいのではなかろうか・・・。

その裏面・・・算盤をはじき、北叟笑む恵比寿の姿が漫画チックで面白い。
第六十六国立銀行は、県内最初の国立銀行として尾道町(現尾道市)に設立され、明治12年4 月20日に開業した。
広島県内最初の国立銀行ということであるので、当時は尾道が広島に負けないほど繁栄していたことが容易に推察できる。
また、この銀行を母体として現広島銀行が誕生していることから考えても、もまさに由緒正しき広島を代表する銀行なのだ。

駅前に続く商店街の中で、昔父親がお土産としてよく買って帰った「桂馬」の天婦羅を買おうと本店に立ち寄った。
商品を注文して、これから6時間ほど持ち歩くというと、傷むからダメだと拒否された。仕方なく車中でつまむものだけを購入する。
尾道駅に立ち戻り、帰路につく。

尾道駅構内にて・・・最近では、このEF210形「ECO-POWER 桃太郎」の姿を見ることが多くなったね。
尾道駅からは、14:45発の相生行きに乗車

車中ではなごりの賀茂鶴を味わう。 あては、さきほどの桂馬の天婦羅である。

・・・往路同様岡山から新幹線を区間利用する。 復路は、時間短縮のため姫路まで新幹線を使う。
僅か20分の利用だが、時間的にも精神的にもその利用価値は大なり。
岡山から16:28のひかりを利用する。幸いにも自由席に4席空きがあった。

岡山で購入したママカリの酢漬けをアテにビールで一杯・・・名残の瀬戸内の味覚を満喫する。

姫路には16:49到着 ここまでくれば、後の新快速は心配ご無用なり。
座長を務めた仲間から、まさかの6,000円の返金あり。つまり1泊2日で29,000円の出費で済んだ。
これだけ出費を抑えた旅行は、昨今経験していない。
お互い飲み食いに貪欲ではなくなった為か、歳のせいかは分らない。
姫路からの新快速の中ではさっそく、「来年は何処に行こうか・・・」と相談が始まった。
(終)
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Comment
2014.09.29 Mon 10:49 | 尾道駅
さすがに2日目は酒量が減ったように感じますが・・・・。
尾道駅、長いホームが今となっては虚しく見えますね。かつては何本もの特急が発着してたのに。古いドラマで新幹線に翻弄される尾道の駅弁屋さんを題材にしたものを見たように思います。
朝ドラとしては初物づくしのマッサン、楽しみです!
- #-
- サットン
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2014.09.29 Mon 17:29 | *サットンさん こんにちは
そうですね。初日のピッチが速かったのと、2日目は快晴で暑かったため、お酒は控えめでした。竹原の町並み保存地区では、ペットボトル入りの「仕込み水」を飲みながら町並み散策しました。
尾道の長いホームを見るにつけ、優等列車や夜行列車が頻繁に往来していた頃が彷彿として侘しさが一入でした。
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- FUZZY
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2014.10.03 Fri 07:14 | 銘酒の旅
旨酒を巡る旅、楽しく拝見させていただきました。
お疲れ様でした。
マッサン、毎日見ています。
2年ほど前に拙ブログで取り上げた攝津酒造。瓶に貼り付けられていたたった一枚のラベルのお話でしたが、まさか朝ドラになるとは思いませんでした。
時代もののわりには、お話の導入方法が今までと少し違う(主人公の年少時代から…、というのが今までの手法でしたが…)ので、かなり興味深いですね。
2014.10.05 Sun 20:54 | *のりさん こんばんは
今回のNHK「マッサン」は確かに導入部分が類のないようなものになってますね。ただJOBK通例のような、大阪人でも気恥ずかしいようなステレオタイプのコテコテのナニワドラマにならなければいいのにと心配してます。
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