青春18きっぷ・出雲一畑紀行(その2)
- Sun
- 07:00
- ∇鐵道ほとがら帖/平成編 - ├平成8年-平成10年
(前回からのつづき)
平成8年8月17日盛夏の昼下がりだった。

一畑電鉄の松江温泉駅は、煙突の様な搭屋を有するレトロな駅舎である。
駅前も何故かリラックスバージョン・・・

待合をのぞくと、ちょうど高校野球の最中・・・クーラーのない待合のお客はタオルで汗をふきふき観戦していた。


木製の改札口がなんとも懐かしい。

ホームのわきには、一畑電車沿線地域対策協議会の意見広告があった。
「がんばれ、一畑電車」
右下には小さな文字でこう書かれていた。
あなたは、一畑電車に乗ったことがありますか。
あなたは、一畑電車が好きですか。
あなたは、この一畑電車が廃止になることを考えたことがありますか。
このふるさと電車を守るために、
県民及び沿線の方々の積極的なご利用をお願いいたします。

駅舎の周りを巡ってみると、旧型車両が顔を見せた。

デハニ52号(昭和3年9月製)である。内部はお座敷列車に改造されている。


次位は、クハ101号(昭和15年11月製)

3輌目は、デハニ53号(昭和4年12月製)である。
(後日譚)
このデハニ52と53は、この後平成21年3月さよなら運転をして営業運転を終えたが、同年8月には『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』のロケーション撮影に用いられ、奇跡の復活をなしている。
当時はそんなことは知る由もなく、ただ旧型車両に出会えたことが嬉しく、カメラを向けたものだった。

松江温泉駅では、入場券と一日乗車券を購入して車中の人となる。


松江温泉駅には、路線図のパンフのほかに、↑の所有車輛一覧や、↓のデハニ車輛竣工図などが置かれて、自由にお持ち帰りくださいとしてあり、マニア心を揺さぶってくれる。


デハ2103号(昭和42年9月製)とデハ2101号(昭和43年6月製)
もとは、京王帝都電鉄5000系である。
これらは、冷房付きなのでさっそく車内にて涼む
とはいうものの、車庫のある平田駅では下車しなくては・・・

おわん型ベンチレーターが可愛いデハ6号・・・昭和2年9月製なので御年69歳
こういう古い車両が知らない間に次々と姿を消していく様を見るのは辛い。
この車両もご多分に漏れず平成10年には廃車となるが、スクラップにはならずに3号車とともに沿線の保育園に保存されていると聞く。

奥の車庫内にいるのは、デハ23号(昭和2年9月製)

左の切妻型の電車は、80系デハ81-クハ181の編成ではなかろうか(この撮影後ほどなく平成8年12月に廃車)

両運転台のデハ61(昭和36年10月製)・・・昭和61年に西武からやってきた転入車輛

90系クハ191+デハ91の編成(昭和38年5月製)も昭和60年の西武からの転入組(この撮影後ほどなく平成8年12月に廃車)
どちらにしても非冷房車なので盛夏の利用には厳しいものがある。

呉服屋さんに生姜糖の宣伝は、心に響くね・・・

川跡駅では、デハ3号のお出迎え
リベットにアンチクライマーを装備し、戦前の車輛としての風貌を備えている。
何とも、美しき立ち姿なり!!!

旧型に多い落とし方式の窓枠や、パンチング金網の座席下カバーも痺れる。
そして、やや形が崩れたベルベットの座席が、なんとも云えない歴史と風情を醸し出してゐた。

川跡から4つの目の駅が終着「出雲大社前」

出雲大社前駅に到着したデハ3号
やはり、お椀型ベンチレータが可愛いね。

出雲の神様がおわすところに、こんなイスラム風の駅舎でいいのか?と思わせるほど印象的な駅舎である。
グリーンのドーム型屋根とステンドグラスが素晴らしい。
昭和5年の開通時からの駅舎であるが、その奇抜な意匠に対して当時はどんな反応があったのか、気になるところだ。
近くに寺社建築の粋ともいえる鉄道省大社線の「大社」駅(二代目:大正13年築)があるため、それに対抗したものではなかろうか?

内部では、ちょうどステンドグラスを通した夕陽が出札場をカラフルに照らしていた。

なんと素晴らしい演出ではないか・・・・この瞬間に立ち会えた幸運に心より感謝する。
(つづく)


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