令和4年春分の奈良散歩(その2)
前回からのつづき・・・
般若寺から少し南に下ると、本日のポイントのひとつである旧奈良監獄に出た。

明治41年築の五大監獄のひとつ
現在まで当時の建築様式がよく残っており、今では国の重要文化財となっている。

とりわけこの表門が美しい佇まいをしている。
両脇を支える円塔といい、エントランス上部のアーチ型の意匠といい、威圧的な感じがしない。
黙ってみれば、ディズニーランドにあっても違和感のない華やかな煉瓦造りのエントランスである。
とても刑務所の正門とは思えない。
実は塀の内側から見た表門の反対側のデザインは、これとは全く異なり権威的な雰囲気が漂っている。

表門の奥行きは、このようにほとんどない。

戦後は少年刑務所として使われていたが、それも平成29年3月31日に重要文化財に指定されるとともに廃庁


そして平成29年9月1日をもって拘置支所としての役目も終える。


表門の隙間から内部を覗くと、正面には本館が望める。

廃庁となったこの場所は、星野リゾートが開発することになっていたので、どれだけ工事が進んでいるのか見たいと思って来たが、まだ工事には着工していないようだ。
令和4年に開業予定であったが、コロナ禍のためか延期されて令和6年頃に、監獄史料館やホテルなどの複合施設としてリニューアルされるらしい。
さて予定通りに進むのだろうか?

その向かいにあるのが現在の奈良少年鑑別所
さてさて、奈良監獄を見学したのちは、さらに南に進むと煉瓦建の小さな小屋があった。
変電所には小さすぎるし、ここには鉄道施設はないので、鉄道のランプ小屋でもなさそうだ。

奈良市水道計量器室と表記のある建物(大正11年築)
こういう未知の建物に出会うのも街歩きの楽しいところだ。

水道の水圧を測る装置がある場所とのこと。
以前は荒れた状態のまま放置されていたが、土木学会選奨の土木遺産と認定されたことを機に整備保存された。
めでたしめでたし!
さらに南に下ると、東大寺の転害門(てがいもん)に出る。

天平の息吹を感じさせる大らかな意匠で、創建は奈良時代762年頃とか・・・もちろん国宝

やけに節の目立つ柱なので撮影してみた。何年ごろの木材であろうか。
転害門の脇をくぐって正倉院を左に見て二月堂方面に進ままし


御蓋山の麓の建物
ヘキサノン60mmf1.2の開放ならではの描写・・・やや遠景であるが、ピントを合わせた門の部分が、背景からふわりと浮き出ている。

二月堂への坂道
例年の春分の日であればもっと多くの観光客とすれ違うのであるが、まだまだコロナの影響か人影はまばらである。

また、お水取りに代表される修二会は3月15日が満行だったので、二月堂は現在、落ち着いた雰囲気に包まれている。

回廊にみられる特徴ある丸火袋灯籠
長谷寺にも少し形は違うものの、同様な丸い吊り灯籠がある。ともに観音を祀る本堂の特徴だろうか・・・

修二会に使われた松明が残っていた。
ここの松明は、用途・日によって大松明・韃靼松明・籠松明など何種類もあるのでこれがどれに当たるのか・・・素人には分からない

後の大きなのは、12日の籠松明ではなかろうか・・・

階段脇の菱矢来が撤去されつつある。
修二会の余韻を感じる光景

二月堂から南大門までやってきた。

簡素にしてどこまでも連なる柱と梁の構造美には、いつも圧倒されてしまう・・・

修学旅行の集合写真・・・こんな風景を見るのは何年ぶりだろう・・・徐々に通常の生活が戻りつつあることを肌身で感じる

鹿も撮ったし奈良駅の方に戻ろうとしたが、国立博物館では大神神社の若宮社(旧:大御輪寺・だいごりんじ)にもともと祀られた十一面観音が特別展示されている。
奈良期の木心乾漆像としての傑作をこの目で見ておくことは損ではあるまい。また仏像の周囲をぐるりと回って拝観できるというのはこの機会しかない。
これを逃すと生涯拝むことはできないかもしれないと思い、草臥れた足を棒にして博物館の中へ・・・

しかし、聖林寺という文字をみると、ハリウッド!!と叫んでしまう私は罰当たりだろうか。

今回持ち出したKonica Hexanon 60mm/f1.2には、セットになった純正フードがあるが、ねじ込み式なので取り外しが面倒なのだ。
よって、合うサイズのフードを探すことになる。
あるとき、中古店でライカのノクチルックス M50mm f1.0のフードを少し工夫すれば利用できることが分かり、このようにして実戦使用している。

さてさて・・・・

パトロールの勤行が終了したあとは、近鉄奈良駅改札前の蔵元豊祝にて直会
本日のルートを思い起こしながら静かに盃を傾ける・・・至極のひと時なり


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Comment
2022.05.08 Sun 18:16 |
おひさしぶりです。
奈良紀行、拝見させていただきました。
訪れたことがある場所ばかりでしたのでとても楽しくよませていただきました。
旧奈良監獄は、整備前最後の内部公開の際にに見学させていただきました。
明治期の赤煉瓦建築の素晴らしさを具に拝見させていただくとともに、刑務官OBの皆さんによる興味深い説明が印象深く残っています。
近鉄奈良駅内の「豊祝」立ち飲みもいいですね。
2022.05.09 Mon 05:36 | *のりさんこんにちは
ほんとにお久しぶりです
コロナで行動制限される期間が長かったため、行きたいところも行けずブログ更新にも大いに影響がありました。
のりさんはいかがですか?
奈良監獄ですが、星野リゾートがしっかり工事をしているものと思っていましたが、拍子抜けしました。
これもコロナの影響でしょうね。
今後ともよろしくお願いします
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