「瀬野八のプッシャー EF59」

広島の東に位置する、山陽線上りの瀬野→八本松(瀬野八)は、西の箱根と喩えられるほどの急勾配がつづく難所である。
瀬野駅から八本松駅に向かって22.6‰(パーミル)(1000メートルあたり22.6メートルの高低差)の急勾配が連続し、往年は、3シリンダーを駆使する蒸気機関車のC52がここで列車の後部に連結して、後押ししながら列車を押し上げていった。

電化した後では、現在の高性能の電車は単独で登れるようになったが、貨物列車はまだまだ後補機を必要としている。


東海道の優等列車を牽引していた、往年の大型電機EF53やEF56が活躍していると聞いて、昭和49年9月16日瀬野駅を訪れた。




岡山までは新幹線を利用したようだ。(この当時、山陽新幹線は、岡山まで開通済み。岡山以西はこの半年後には完成するという頃だった。)
新大阪駅では、いきなりドクターイエローの登場。

19740916瀬野八472-1



黄色いボディと六角形の窓が特殊車両であることを示している。
むおぉ・・・何か今日はいい事があるような気がしてきた絵文字名を入力してください


19740916瀬野八471-1

しかし、このボディー、かなり痛んできているね。

19740916瀬野八471-3

きっと開業以来酷使されてきたんだろう。


・・・・・・・
岡山から瀬野までは、在来線をちんたらやってきたはずだが、写真がない。カラーなのでケチったのかな?

ともかく憧憬の瀬野駅到着。

19740916瀬野八479-1


こじんまりとしたクラシックな駅舎の隅から茶色の車体がのぞいている。



ここのデッキ付機関車、東海道線で特急を牽引していた頃とは、モーターのギア比が変わったいるとか、トラしまのペイントが片方にあるとか、大きなデッキには連結器の自動開放装置がついたのでごちゃごちゃしているとか・・・はあるが、そんなことは些細なことで、大好きな往年の名機が当時のままの茶色の車体を輝かせて現役で働いているところをこの眼で見られることだけでもメチャ幸せだった。

19740916瀬野八473-1


それも、一台や二台じゃなくとてつもない集団を形成している・・・すごい!!なんという迫力であろう!!


19740916瀬野八483-1

往年の東京機関区もこんな風情であったろう。

大きなデッキが最大の魅力だ。




19740916瀬野八485-1


反対側(広島寄り)からみるとトラ模様の警戒色がペイントされているのがわかる。


19740916瀬野八474-1

熱心に機関車に見入っていると、いきなり目の前を・・・


19740916瀬野八475-1

上りの「特急はと」がびゅんと通過していった。



そのあと、EF66牽引の上り冷蔵貨物列車がやってきた。

19740916瀬野八481-1

しかし、このレサとかレムフとか言われた冷蔵貨車、今では全く見ないね。

知らない間に淘汰されてしまった。真っ白な貨物列車・・・昔は、うんざりするほどよく見ましたよ。


19740916瀬野八482-1

この駅でしばらく停車した後、2台の後補機を連結してモーター音を轟かせながら、勾配を駆け上っていった。


静寂が戻った構内を見ていこう。


これは、EF5922とEF5914。元の形式は、EF563とEF5316である。

EF5922(EF563)とEF5914(EF5316)-1

特に右側のEF5316は、お召し列車の牽引機を務めた誉れの機関車である。とりわけボディカラーが美しい。
かようなところでご尊顔を拝し奉り、恐悦至極仕り候。



EF5922(EF563)とEF5914(EF5316)-3

これが連結器の自動開放装置(EF5922)
急勾配が終わる頃、この注射器のような装置に圧縮空気が送られて、せり上がるピストンによって連結器の開放レバーを押し上げるようになっている。

アナログな感じのする昔から採用されていた装置であるが、走行中、列車を止めることなく補機を切り離すことができるので重宝なものだ。
万一のときには、人力で開放する必要があるが、運転席の前に大きなデッキがあるので、なんとかなるんだろう。


19740916瀬野八486-1

お努めを終えると単機回送となってここに戻ってくる。

この繰り返しが、EF59のお仕事である。



19740916瀬野八476-1


下りの「特急日向」が広島に向かって下っていった。


上り急行山陽5号-1

上り急行山陽5号・・・運転窓の大きなクハ153は、独特の風貌をしている。

4両目には朱色の167系を挟んでいるようだ。



左のEF60の引く冷蔵貨物には・・・

EF5911(EF532)とEF5924(EF5612)-1


EF5924(EF5612)+EF5911(EF532)がプッシャーを務めた。

往年の名機の活動を満喫できた晩夏の一日であった。



・・・なお、 EF59は、比較的長命であり、最後の機関車が廃車されたのは、JR発足後の1987年である。また現在ではその後任はEF67が務めているが、補機の連結・解放は瀬野駅や八本松駅では行われておらず、補機は広島貨物ターミナル駅で連結され、西条駅で解放されている。

DSC09091-1.jpg

(現在の広島貨物ターミナル駅で憩うEF67)



したがって、連結する機関車を配置する瀬野機関区は、不要となり1987年に廃止され、広島貨物ターミナル駅近くにある広島機関区に統合された。今では瀬野駅の橋上化に伴い、機関区に関係する線路はすべて撤去され跡地にはスカイレールサービスや駐車場ができている。

瀬野機関区跡



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Comment

2008.04.13 Sun 17:46  |  167系、922型・・・

当時の下関には修学旅行用の167系がいたので、使っていたのでしょう。モーター出力も153系より大きいので、ありがたかったのかもしれません。この167系、年末には田町と宮原に転出し、前者は2003年、降車は2001年まで生き残るのです。

この当時はドクターイエローとは呼ばれてはいませんでしたが、かえって貴重なものですね。
この編成は試作B編成の改造です。

瀬野機関区は、上り線を通過する列車もあるので、その位置からの撮影は禁止されたはずです。

2008.04.14 Mon 12:59  |  

*なにわさん。こんにちは。
 ご指摘ありがとうございます。
 ホームの撮影禁止区域・・・そんなものはなかったと記憶していますが、この当時にもあったのでしょうか?

  • #-
  • ファジー
  • URL

2009.10.20 Tue 18:44  |  

これはいいものを教えていただきました!
早速、探してみます♪ 感謝!!

  • #-
  • ぼんくらオヤジ
  • URL

2012.12.27 Thu 19:02  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • #

2012.12.27 Thu 21:07  |  *コメントありがとうございます。

古い記事にも拘らずご覧いただいた上にお褒めのおことばをいただきありがとうございます。この当時でも現役のEF53に出会え、身が震えるほど感動したのは憶えていますが、それ以外の何気のなくカメラを向けた列車も、今となっては只々懐かしく感じます。当ブログでは、この当時の鉄道旅行記は数多く収録していますので、ご参考にしていただければ幸いです。

2014.09.18 Thu 06:23  |  瀬野機関区 1974

FUZZYさま、こんにちは。

貴殿が瀬野機関区を訪問された1ヶ月前、広島へ出かける機会がありました。 往路「しおじ1号」の車窓より眺めた、デッキ付電機の居並ぶ光景は本当に感動でした。 UPされた写真を拝見していると、当時の記憶が蘇ってきます。

帰路ちょっとでも瀬野に立ち寄る方法はないかと、時刻表と睨めっこしましたが、普通電車の本数が至極少なく断念しました。

当時の時刻表を見返してみると、瀬野発上りは15:10の次、16:27までありません。 近年の運転形態とは隔世の感がありますね。

結局帰路は臨時特急「しおじ54号」に乗車し、瀬野通過時に必死に車内から観察しました。

2014.09.22 Mon 22:36  |  *MKさん こんばんは

在来線の優等列車「しおじ」で山陽の峠越えというのも、今から思うと贅沢な感じがいたします。小生は新幹線で出向きましたが、新大阪駅で試作車B編成の黄色い新幹線に出会ったのが大変な僥倖の一つでした。しかしその後長期にわたって、その事の貴重性が、認識できなかったというお粗末ぶりを発揮してました。

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何カノキツカケガアレバ汽車ノ事ヲ一所懸命ニ記述シテヰル。子供ノ時ノ汽車に對スル憧憬ガ大人ニナツテモ年を取ツテモ抜ナイノデアラウ。


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長崎の鴉・・長崎阿房列車

段段車窓が薄暗くなり、汽車が次第に濃ひ夕闇へ走り込んで行く時に聞く汽笛の響きは、鼻へ抜けたかさ掻きのやうな電氣機關車の聲よりも、蒸氣機關車の複音汽笛が旅情に相應しい。


          


  いつの間にか窓が眞暗になり、窓硝子に響く汽笛の音が、蒸氣機關車C62の複音に變つてゐる。


          
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