「ライカ鉄道写真全集」
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- ∇ファジーコレクション - ├鐵道の小筺
私の愛読書の一つに「ライカ鉄道写真全集」がある。
これは、鉄道ファンの西尾克三郎氏が戦前全国の鉄道を求めて旅をした記録である。
昭和9年ころから撮りはじめているが、残念ながら長くは続かない。
なぜなら、戦争が始まると鉄道施設は軍の機密事項なったため、写真を撮ることが禁止されてしまう。いわゆる「軍機保護法」に抵触するというわけだ。
昭和16年のある鉄道雑誌の記事に次のようなものがある。
「昨秋以来急に防諜取締りが厳になりました。これまで軍機保護法、軍用資源秘密保護法等の法規による撮影禁止、より以上に行政上の取締り範囲が多くなり今までは何等制限もなかった私鉄での撮影も出来ぬようになってしまいました。車輌だけの写真なら許されるだろうと一応は考えられますが車輌を写す為には駅とか機関庫へ行く訳ですからどうしても場所がら禁止されて終うのは止むをえないことでありませう。我々の立場からすれば甚だ残念な事ですが今やとやかく申すべき時ではなく御互に守るべき事は固く守って行きたいと思います」
嗚呼・・・悲しいね。こういう憂うべき時代になるまでの数年間撮り貯めた写真集なのでとても貴重なものとなっている。
その当時は、35mmカメラはまだまだ高価で一般人には手の届かなかったが、
芦屋の裕福な家庭に育った氏は、ライカの機動性を生かし、すこぶる多くの写真を残している。
写真集の注釈によると、使用したカメラは・・・
ライカA・ライカD レンズはエルマー50mmとヘクトール135mmということである・・・ので再現してみた・・・下記のとおり。
ライカAについては、下記参照
http://blog.so-net.ne.jp/onkochishin/2007-01-22
またその写真のネガにはすべて通し番号が付され、整理されているので、いまでも検索しやすいものとなっている。
その西尾氏が残した膨大な鉄道写真を整理して解説を付して写真集にしたものがこれである。
発行者は10分冊にして発行する予定らしい。
ところが、第1巻が発売されたのが平成4年であったが、その後不定期刊行となっている。
だから何日店頭に並ぶか予想できないところが恐ろしい。
先日も半年ぶりに梅田の旭屋書店の鉄道コーナーに立ち寄るとこの第7巻が発売されていた。末尾の発行日を見るとなんと平成18年12月!!
ややっ。 半年も前に発売されていたのか。
そんなに爆発的に売れる本ではないので、まだまだ残冊はあったが、買い漏らすところであった・・・・危ない危ない。
第7巻は、戦前の北海道・樺太の鉄道を取材している。
内地とは少し違った仕様の蒸気機関車や客車が活躍している。当時樺太へ行くということは、現在の海外旅行より大変なことであった。氏も親族の援助を得て実行できたらしい。
大変貴重な資料である。
樺太鉄道・落合駅前の馬車タクシーが時代を感じさせる。
・・・しかし、写真集を見ながら思うことは・・・これらの機関車・車両は、昭和20年のソビエト侵攻によりすべて置き去りになっている。
現在の樺太の鉄道がどうなっているのか?当時の機関車が今どうなっているのか?・・・遥としてまったく分からない。
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