「BLACK CONTAX」
ブラックコンタックスといわれるカメラCONTAX?型がある。
(Sonnar5cmf1.4つき)
これは、ライカA型(http://blog.so-net.ne.jp/onkochishin/2007-01-22)を意識して作られたカメラである。
そもそもライカを生み出したライツ社なんてドイツの小さな光学会社にすぎなかった。
一方CONTAXを生み出したツアイスイコンは、ドイツ最大の光学会社。
1925年に光学メーカーのイカ、ゲルツ、エルネマン、ネッテルの4社を大合併させてできた巨大企業である。
ライツ社の成功を見逃しておけなかった巨大企業のツアイスイコンは、先年誕生されたライカA型には、なんとしても負けるわけにはいかない。
そこで、1932年に大ツアイスの威信にかけて世に送り出したのがこれ。CONTAX?型である。
(Sonnar5cmf2つき)
シャッタースピードは1/1000まである(ライカは1/500まで)。高精度の距離計が備え付けられている。レンズ交換もバヨネット式で交換がすばやくできる。
そしてシャッター幕は縦走りの金属製!!
シャッター内部の構造は複雑怪奇!!
ファインダーよこのマスクを引き出すと、8.5cm用のマスクが現れる。
ただ、単に見える範囲を狭めるだけのものであったが、ボディに内蔵したところがすごい。
13.5cm用のマスクがついたものもあったようだ。
トゲトゲのギアを回すことでピント合わせをする・・・・この方式は、今後もずっとCONTAXが採用している方式。
わが国のニコンも右に習ったがものだが、決して使いやすくはないね。
「ライカの真似を全くしない」ことをテーゼとして開発されたため、結論として使い勝手が悪いところもある。
とくに巻上げノブがレンズの向かって左側にあることは、前例も後例もないもの。扱いにくい。
それとシャッタースピードの選択。
これが飛び切り複雑怪奇なものになっている。
下段のリングで4つの「シャッター群」からその一つを選択する
4つの「シャッター群」とは、
「スポーツ撮影群」・・・1/1000?1/100
「通常撮影群」・・・1/100?1/25
「夜間撮影群」・・・1/10?1/5
「タイム露出群」・・・1/2とZ
その上で、上部のリングで個別のシャッタースピードを選択する。
それも白文字には白点であわせ、赤文字には赤点で合わさなければならない。
「スポーツ撮影群」 現在1/100
「通常撮影群」 現在1/50
「夜間撮影群」 現在1/5
「タイム露出群」 現在1/2
露出群を合わす時は、必ず矢印→の方向にまわさなければならない。
でないと・・・壊れる!!
巻き上げノブの内部は歯車がいっぱい!!
(実際にバラして写真を写す訳には行かないので、「コンタックスのすべて」から複写)
嗚呼、実際の取扱もややこしいというのに、こういうふうに文章にして表わすのは余計にややこしい!!
まあ、このややこしい写真機を苦労しながら写真撮影するのが極めて楽しいのだが・・・
昭和7年のCONTAX?型の誕生以来、ライカファンとコンタックスファンの論争があちこちでなされた。
(現在で言うと、巨人ファンと阪神ファンのケンカみたいなものか。)
そうして、ついに、その火種に引火してしまった。
昭和11年のアサヒカメラにおいて、ライカとコンタックスとの比較が掲載され、コンタックスのほうが優れているとの記事が掲載されるや否や、ライツから極めて強いメッセージが出た。
「降り懸かる火の粉は払はねばならぬ」というライカ・コンタックス論争に発展する。
http://www.cosmonet.org/camera/hinoko.htm
(今読んでみても、とても興味深い)
いろいろな資料を検証すると、確かに戦前は、ライカよりコンタックスのほうが重宝された。
しかし、平成の時代では、ライカのほうが圧倒的な支持を得ている。
シンプルな方が長持ちするのか、それとも時代の流れか・・・。
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