「八九式活動写真銃」
- Fri
- 07:38
- ∇愛しき冩眞機 - ├中判・大判・etc
我が家には、いくつかの出所のよくわからないレンズがある。
このHexar 7.5cm f4.5もそのひとつ。 紺色の指輪のケースのようなものに入っていた。
レンズの直径がわずか18mmの小さなレンズ。
絞りはついているが、ピント調節のためのヘリコイドはない。
(M42の台座はこちらでとりつけたもの。)
Rokuoh-shaと明記してあるので、六櫻社(今のコニカミノルタ社)製であることは、確か。
ヘキサーレンズはよく写るので、このレンズもよく写るだろうと思って買ってきたものだった。
引き伸ばし用のレンズかなあ、それとも何らかの写真機についていたものか?
中古カメラ店の店主に聞いても、何に使われていたレンズか分からなかったが・・・
ある日、書籍を見ていると六櫻社が作った大日本帝国海軍の八九式活動写真銃なるものに出会った。
(安藤嘉信著「クラシックカメラ博物館」より複写)
紀元2600年は、昭和15年だったので、八九式の2589年といえば、昭和4年製である。
実物は、数年前に東京・品川の中古カメラ店で、一度お目にかかったことがある。
大きな木箱に入っていて、一般のカメラと違って機関銃のような姿(当たり前か!)をしていて、グレーに塗られたボディが軍用仕様であることを示していた。
これは、飛行機の上から機関銃で射撃するための練習用の銃である。
実弾を使うともったいないので、実弾の代わりに224枚撮りの35mmフイルムを装てんする。
引き金を引くとゼンマイの力で連射ができる仕組み。そこで「活動写真銃」というらしい。
銃に備え付けた懐中時計の文字盤も一緒に写し込み、標的に対する速写性・命中確度の向上訓練に使ったものである。
陸に上ってからフイルムを現像して、あーだ、こーだと教官からいろいろ小言を言われたんだろうね。
赤とんぼといわれた複葉機にでも乗せて、標的に照準を合わせてカタカタいわせながら射撃の練習をしてたんだろうか。
実弾を使わずにこんな模造銃で訓練していたなんて・・・なんだか悠長で微笑ましい気がする。
まだまだアナログの時代だったんだね。
(これは、零戦の機関砲・・・大和ミュージアムにて)
この八九式活動写真銃に使われていたレンズが、Hexar 7.5cm f4.5で、このレンズと同じスペックである。
手許のレンズは極小なので、銃の機関部にも納まりそうだ。
平和な現在では、このようにヘリコイドを介して、デジタルカメラに装着。
接写でアサガオを撮る。
写りに定評のあるヘキサーレンズだけあって、この立体感・瑞々しさは特筆すべきだ!!
後のボケも美しい。
もちろん無限大でもOK。
ファインダーをのぞきつつ・・・・ヨーソロー!
追記:後日このレンズは、一昔前の引き伸ばし用レンズであることが判明した。(小さいので扱いにくそうだ)
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