「レチナ#119」
先日うちにまた写真機がやってきた。
もちろん、カメラは、勝手にはやって来ない・・・安かったから買ってしまったのである。
コダック・レチナ一族の#119である。
初代の#117と二代目の#118はすでにコレクションにしているので、三代目の#119を見つければ買わずにはおれない。
(でもコレクションとしてレチナ族は増えに増え、すでに20種類を超えているのだが・・・。)
ドイツのシュツットガルトに於いて1936年から約2年間で40000台製造されたものの1台である。
台数としてはそこそこある方かもしれない。しかし先の大戦をくぐりぬけてどれくらい現存するか否かは、別問題。
前蓋の内側にPRAHAと書かれたカメラ店のシールが貼ってある。
プラハのカメラ販売店か、修理店のものだろう。
戦前に東欧に持ち出され、大切に使われてきたたこのカメラが、東西冷戦融和の弾みで西側社会の流通にのって極東の我が家に流れ着いた。
誕生から70年の年月を経過して・・・。
そう思うとなかなか感慨も一入である。
ところがあまり状態はよろしくないのだ。
皮の部分ははげているし、軍幹部のブラックペイントも剥離している。
シャッターユニットの位置も45度ほど回転してしまっている。レンズも少し曇りがあるようだ。
こうなると、むくむくと修理魂が湧いてきた・・・
とりあえず分解
軍艦部のカバーを外す。
外見ではわからないが、内部は複雑な感じ。
艶ありブラックで塗装した後、オーブンレンジで焼付け。
こうすると塗装が丈夫になる。
細かいAとRの文字を極小ドライバーの先端を使って削り出したが、これには、かなり骨が折れた。
仕上は上々。
シャッターユニットは、レンズの掃除をした後、正しい向きにセッティング。
KODAKの文字がこうなるのが正位置である。
外装の剥げた革の部分は、専用染料で色付けした後、艶出しエナメルでコーティング。
昔の輝きを取り戻した。
完成披露として、レチナの初代・二代・三代 (左から順) の揃い踏みである。
ぱっと見はよく似ているが、すこしずつ意匠や機構が異なる。
上から見れは違いは一目瞭然。
レチナマニアであれば、これを見ただけでそれぞれ型式が分かるというものだ。
これら初期型レチナ三形式を揃えるのに何年掛かったことか・・・
しかし、まあ、なんですねぇ。レチナコレクションもこのくらいにしておかないと・・・あとは激レアなものくらいしか残っていないのでね。
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