「人形浄瑠璃文楽鑑賞」
11月18日(日)
同窓の大先輩であるライカ先生に「久しぶりに文楽でも観に行きませんか?」と誘われて、この日、日本橋の国立文楽劇場に出向いた。
人間国宝吉田玉男の一周忌追善狂言として、次の演目が掛かっていた。
演目 近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた) ・和田兵衛上使の段 ・盛綱陣屋の段
艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ) ・酒屋の段
面売り(めんうり)
舞台は撮影禁止ゆえ、ロビーの絵看板で登場人物をご覧あれかし。
この日は、ほぼ満員のお客さんではなかっただろうか。1階のロビーも混雑している。
座席は前から3列目の大夫席のすぐ前。大夫や三味線の息使いまで手に取るように分かる席であった。
近江源氏先陣館は、見るのは2回目で、1回目は20年前も前の話だ。
そのときの、佐々木盛綱は吉田玉男が扱い、大夫は竹本住大夫であった。
その当時、ああ、そんなものかなあ。と思って見ていたが、今となっては人間国宝の豪華な出演者であったわけだ。
今日見る演目は20年前と同じであるが、聴き手の方が20年も年をとっているので、やはり前回とは違ったとらまえ方をしたようだ。
「味わい」「粋」というものを感じた舞台であったし、またこちらが感じられるだけの年を重ねたのかなあと思ってしまう。
登場人物の老母「微妙」は、文楽でも最も難しい役柄である「三婆」の一つといわれる。
そう思ってみるとやはり難しい役柄に見えてくる。(なぜ「微妙」なんて名前を付けたか分かるような気がする。)
僅かな人形捌きをもって、心情変化を表現するところが難しいのだろうね。
また艶容女舞衣「酒屋の段」では、吉田蓑助扱うお園の一人芝居の場所がしみじみとした風情がありました。
・・・大夫も大いに語ってましたねえ。聞かせました。
内容は、実話を元に近松が脚本した、いわゆる世話物・・・不倫した亭主がちょっとしたことから人を殺し、千日前で情婦と心中するのを残された家族が嘆き悲しむ様子を伝えている、現在で言うところの三面記事にすぎないが・・・お園の頭(カシラ)を生き生きとそして艶かしく扱う吉田蓑助の演技には、客席から「待ってました」の声がかかるだけのことはあるね。
大夫の語りと太棹三味線の音色は、演者によってそれぞれ異なり、その違いを感じ取るもの楽しいものだった。
途中30分の休憩があったが、4時間に及ぶ第1部があっという間に終わり、鑑賞はおしまい・・・劇場を後にする。
夕食までには少し早いので、千日前の丸福珈琲で一服。
ここのコーヒーは、昔ながらの深煎りの濃いコーヒーである。角砂糖がついてくるのも懐かしい。
最初の半分はストレートで楽しみ、後の半分にミルクを入れて楽しむのがファジー流なのだ。
場合によっては、残った角砂糖を動物園のクマのようにかじるのも吉。
そのあとは、ライカ先生と心斎橋八幡筋の浅井東迎でちょっと一杯。
このブログでは既出のお店
(http://blog.so-net.ne.jp/onkochishin/archive/20070516)
「カワハギの造り湯引き肝付」
その他には・・・蓮根まんじゅう、ほうれん草裏濾し甘鯛椀・・・と続く
そして最後には、やはりここではこれを注文してしまう・・・「豆腐丈艨vと古酒(クースー)
文楽談義に・・・カメラ談義に花を咲かせつつ・・・・杯を重ねていった。
・・・ミナミで文楽を観た後、なじみの料理屋の暖簾をくぐり、美味しいもので杯を傾ける・・・
昔、浪速の旦那衆の多くも、こうして休日を楽しんでいたんだろうなあ。
・・・ほんに、おもろい一日でおました。
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