「仁和寺にある法師・・・」
『仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心憂く覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩より詣でけり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。 さて、かたへの人に会ひて、「年比思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。 少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。』(徒然草 第52段)
12月2日(日)天気もいいので名残の紅葉を求めて八幡の石清水八幡宮を参詣する。
石清水(いわしみず)といえば、徒然草の仁和寺の法師を思い出す。
ココの法師、この段以外にも登場するので、きっとオモロイ坊さんが多かったのであろう。
ここに出てくる極楽寺や高良(コウラ)社はどんなところか興味があったので、一緒に訪ねて見ることにした。
仁和寺の法師はひとり徒歩で京・仁和寺から八幡の地までやってきたのだろうが、こっちは、京阪特急で一気呵成にやってきた。
・・・まさに「人に翼の汽車の恩」である。(鉄道唱歌第65番)
特急の座席は、ダブルデッカーの1階にしたので、車窓からの風景はこのとおり。
プラットホームの面とツライチになっている。ホームを走り回るネズミかゴキブリになった気分。
まあ、これはこれでオツなものです。
しかし、京都行きの特急はお昼前の時間帯だというのに、超満員だった。
みんな南禅寺や清水寺、嵐山あたりに行くのだろう。ラッシュアワーの駅構内のような観光地で人気(ヒトケ)に当てられクタクタになってお帰りになるのだろうね・・・ご苦労なこって。
さて、こちらは・・・
八幡市駅前からケーブルカーに乗車。
京阪特急と同じカラーを身にまとっている。
法師もこのケーブルカーに乗れば間違うこともなかったのに・・・と残念至極
山上駅から紅葉の盛りの参道を抜けると境内となる。
境内一体をまとめて重要文化財というアバウトなくくりになっているお宮さんだ。
遅めの七五三詣でをする家族も数多く見受けられた。
ここは、京都市内から外れているので、観光客は少なく、静かにゆっくりと紅葉を楽しめる。
境内に立派なエジソン記念碑がある。
内容は下記の通りだ
世界的な偉業をなした八幡宮の御竹様はこちらに・・・
帰り道は、落ち葉のジュウタンの表参道をゆっくり下っていく。
こんなところをふらふら歩くのもまた晩秋の愉しみではある。
仁和寺の法師が「聞きしにも過ぎて尊くこそおはす」と語った高良神社は表参道の坂道を下りきったところにあった。
こんな、こじんまりとした神社を石清水八幡宮と間違うかなあ?
先達なんていなくても間違わないんじゃないかな?・・・変だなあ。
まあ、鎌倉時代の好兼法師の頃と平成の御代ではその規模や存在感が違うのかもしれない・・・よくわからん。
仁和寺の法師が訪れたもうひとつの極楽寺のほうは、先だっての戦災・・・鳥羽伏見の戦いで灰燼に帰していた。
ということは、僅か140年前までは存在していたのだ。
ん?ん残念。
もうちょっと早く生まれていたら見られたのに・・・バカな戦いをしたものだ。
京都で直近の戦災といえば、「蛤御門の変」と「鳥羽伏見の戦い」を指すので注意を要する。
仁和寺の法師の足跡も一応訪ねることが出来たので、満足満足。 あとは、道草せずにとっとと帰宅する。
京都市内の観光客がどっと乗ってこないうちに車中の人となる・・・賢明な選択であ?る。
・・・道を知らざらん人、かばかり恐れなんや。(徒然草 第185段)
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