熊野街道の起点を歩く(3) 天満橋京町~和泉町

前回の熊野街道の起点を歩く(2)→こちら



いよいよ熊野街道(お祓い筋)を南下していこう。

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最初に歴史の散歩道の碑あり。

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ここには釣鐘屋敷のことが書かれているので、触れない訳にはいかない。

この場所から少し南下したところに釣鐘町(つりがねちょう)がある。

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そこには町名のいわれとなった一つの釣鐘「大坂町中時報鐘(おおさかまちじゅうじほうしょう)」がある。 

決して寺院の梵鐘ではない。

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これのいわれを簡単に記すと、江戸幕府の将軍家光が直轄地である大坂に来たとき、どういう経緯か知らないが、大坂町中の地子銀が永代免除されたらしい。

そのことで、惣年寄評議して後世子孫をして永くこの恩恵を忘れないように、釣鐘を造って時刻を告げることをもって報じようとした。

寛永11年9月に完成しその後昼夜を問わず一刻ごとに鐘が撞かれ、市中の人々は時計代わりに重宝したらしい。

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ところで・・・・近松が書いた「曽根崎心中」の道行きの名高い語り・・・

「この世の名残り夜も名残り 死にに行く身をたとうれば あだしが原の道の霜 ひと足ずつに消えて行く 夢の夢こそあはれなれ あれ数ふれば暁の 七つの鐘が六つ鳴りて 残る一つが今生の 鐘の響きの聞き納め 寂滅為楽と響くなり」

と、徳兵衛とお初の道行のクライマックス・・・七つ(午前4時頃)を告げる鐘の音の六つまで聞こえたが、七つ目の鐘がこの世で聞く最後の鐘の音だ・・・この一刻後に撞かれる鐘は今生で聞くことはないだろう。と・・・

二人で聞いたのがここ釣鐘屋敷の大坂町中時報鐘だったらしい。


天満橋から梅田の西方まで約3kmほどの距離があるが、ほんとに聞こえたのだろうか?

まあ聞いたといわれる二人はすでに情死しているし、近松っつあんの創作であるが、一刻毎に響く鐘の音は、市中広しといえどもココの鐘しかないので、江戸の昔の物音一つしない早暁にはきっと聞こえたのであろう。

・・・ということで、浄瑠璃にも登場する由緒ある釣鐘である。


因みに明治3年になって市中の時報は、お城から打ち出す号砲「ドン」に担当が代わったので、この鐘楼は撤去され、大阪博物場に長らく保存されていた。


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しかし大正15年の現大阪府庁完成時にはその屋上に据え付けられた。市役所の「みおつくしの鐘」のように。

この写真は昭和7年のもの・・・鐘楼は高い方の建物の屋上にあるお堀から一番遠いところにポツリとある塔屋ではないかと思われる。

しかし、この当時府庁の庁舎が桁外れに大きな建物であったかということがわかる。
隣の大手前高等女学校(現大阪府立大手前高校)の校舎が小さく見えるし、それ以外の建物では偕行社すら霞んで見える。

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その後釣鐘の里帰り運動が奏功し、昭和60年に元の釣鐘屋敷跡地に戻り、現在でも毎日、朝8時・正午・日没時の一日3回コンピュータ制御により自動で撞かれ、江戸の名残となる鐘の音を周囲に響かせている。

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ただ、私見ながらこの釣鐘・・・ゴォーーンではなくガーーンと響くのが残念。



さてさて・・・内平野町、内淡路町と続く

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ともに「内(うち)」の字を冠するが、ともに大阪城の城内であることを示す接頭語である。

東横堀川から西側は城外となり、「内」の字が付かない平野町・淡路町が御堂筋の西側まで広がっている。



さらに進むと、中大江公園が見えてきた。

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ここに「熊野街道」の案内碑がある。

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道筋は間違っていないようだ。 しかし、まだ八軒家から500mかいな!


その斜め向かいに気になる掲示板があった。

ちょっと道草。

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一般の民家の軒先を借りるようにしてずっと昔からあるのだが、そこには「大阪府大阪市傷痍軍人会東支部」と書かれている。

傷痍軍人(しょういぐんじん)は、戦役で負傷した軍人をいうが、戦後も60年を経るが今でもその団体があるのかどうか不思議でならなかった。

傷痍軍人という言葉も平成生まれの人にはすでに死語となっていると思われるが、我々の子供の頃には、お祭りの日などで社寺の境内に白い傷病兵姿で喜捨を求めている人のことを「傷痍軍人」と呼んでいた。

戦後まもなくの頃は、まさに戦争で傷ついた兵隊さんだったであろうが、私の子供の頃には本来の傷痍軍人ではなく、偽者であることが多かったように記憶している。

「足が悪いと松葉杖をついていたのに、神社の陰にまわれば普通に歩いていた」とか「目が見えないはずなのに障害物を上手く避けて歩いた」などと悪童の密告には枚挙に暇がない。

小生も最後にこの手の傷痍軍人を見受けたのは・・・平成に入ってから阪急の清荒神参道だったと思うが、このときすでに戦後60年近く経っているが、くだんの傷痍軍人さんは、壮年の風体でとても80歳近い老齢にはとても見えなかった。

本来、体を張って国のために戦った兵隊さんなので、国が十分な補償をすべきだが、敗戦のためその保証制度が十分でなかったため、哀れな姿を道端にさらすことになったものと思われる。

だからもう傷痍軍人会なんて存在しないんじゃないのか?と思っていたが、大阪府傷痍軍人会の平成4年当時の活動が石碑となって残っていた。


そして、下記の新聞記事を見て考えを改めた。




天皇、皇后両陛下は21日午前、東京都千代田区の日本武道館で開かれた「戦傷病者特別援護法制定45周年並びに日本傷痍軍人会創立55周年記念式典」に出席された。

 式典には、来賓として麻生太郎首相や衆参両院議長らが出席。冒頭、全国の傷痍軍人会の会員や、その妻らが戦没者に黙とうをささげた。

 天皇陛下は「戦傷病者とその家族が歩んできた歴史が、決して忘れられることなく、皆さんの平和を願う思いとともに、将来に語り継がれていくよう切に希望してやみません」と述べた。

 両陛下は式典に先立つ19日、戦傷病者らに関する史料を集めた国立施設「しょうけい館」(千代田区)を訪れた。

(平成21年1月21日 山陽新聞より)





・・・道草を終えて・・・


さらに南に向かって歩こう。

 おやっ?

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どうして犬猫は、半乾きのコンクリートのところに足跡を付けるのだろうか・・・?


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そして施主は、どうして後を補修しないんだろうか?

こういうのを見るたびに考えてしまう。



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徳井町には、徳井能を開催する山本能楽堂も傍らにある。


阪神高速道路が高いところを東西に通っている中央大通りには高さ2.2mの低い交差点に出会う。

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ガーターの傷を見るとかなりかすっている様だ。気をつけましょうね。

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ひろい中央大通を渡ったところにこんな表示がでていた。

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熊野かいどう・・・目的地はまだまだ先だ。



その南に大阪市立の南大江小学校に出る。

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こでは「太閤背割」の現物を見ることが出来る。

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この白い囲いの中を覗くと石組みの中をザーッと水が流れているのが窺える。

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太閤時代の下水道がいまだに現役であるということが驚きである。



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八軒家から1.1km・・・なかなか進まないなぁ





(つづく)









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Comment

2009.05.17 Sun 16:35  |  傷痍軍人

大阪府庁ってずいぶん大きな建物ですね。今見ると歴史がある割には貧相に見えますが。
傷痍軍人は私の次の世代はもう知らないでしょう。子どもの頃商店街の道端でよく見かけました。ブリキの三味線みたいなものを持って。今思うと偽者かなと疑う風体でした。

  • #-
  • サットン
  • URL

2009.05.17 Sun 21:44  |  *サットンさん。こんばんは。

傷痍軍人は今では全く見なくなりましたね。
現在の怪しい存在としては、托鉢僧らしいですよ。町角でも時々その姿を見ますが、坊さんとは全く縁のない中国人がその姿に窶して金銭を集めているとか・・・。
空調の効いた地下街での托鉢僧は間違いなくニセ者とか・・・小市民の信仰心につけ込んだ詐欺と言えましょう。

2009.05.18 Mon 15:15  |  

コンクリートに、にゃんこの足跡が・・・。これと似たようないたずらを小さい時にやったなぁ~(^^;)

今も時報として鐘が鳴るのですね。そういえば、現在放送中のNHK連続ドラマのロケ地にある川越の"時の鐘"も、自動で鳴らしていました。

  • #-
  • うたに
  • URL

2009.05.19 Tue 16:21  |  *うたにさん。こんにちは。

このコンクリートの足跡は、大きいのでワンコのものだと思います。こういうのを「大きな足跡(ソクセキ)」というのでしょうね。
 川越は一度ゆっくりと蔵通りを探訪してみたいです。今は朝ドラ人気で混んでいるのでしょうか?

2009.10.25 Sun 12:31  |  傷痍軍人

1928年生まれの方でも、少年兵として戦地に赴かれて負傷されれば、まだ81なんですよね。

さて、この手の背割下水道は、町の境界をなしているケースがあります。
名古屋なんぞ、背割が区の境界になっているので、ぎざぎざに入り組んでいます。

この府庁、80年以上の歳月を過ごしてきたのですが、江之子島から移動した際はさぞや大層なまのだったのでしょう。そして、軍民の中心が一点に集中したのですから。
今、移転騒動がかますびしいです。一点集中は避けるべきですが、海辺の埋め立て地は、台風、津波にもろいといわれると、考え込んでしまいます。

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何カノキツカケガアレバ汽車ノ事ヲ一所懸命ニ記述シテヰル。子供ノ時ノ汽車に對スル憧憬ガ大人ニナツテモ年を取ツテモ抜ナイノデアラウ。


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 阿房(あほう)と云ふのは、人の思わくに調子を合はせてさう云ふだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考へてはゐない。
 
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長崎の鴉・・長崎阿房列車

段段車窓が薄暗くなり、汽車が次第に濃ひ夕闇へ走り込んで行く時に聞く汽笛の響きは、鼻へ抜けたかさ掻きのやうな電氣機關車の聲よりも、蒸氣機關車の複音汽笛が旅情に相應しい。


          


  いつの間にか窓が眞暗になり、窓硝子に響く汽笛の音が、蒸氣機關車C62の複音に變つてゐる。


          
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