昭和28年の花電車風景(大阪市電創業50周年)
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- ∇鐵道ほとがら帖/昭和編 - ├昭和元年-昭和47年
先日、自宅の古いアルバムをペラペラめくっていたら、父が撮った写真が出てきた。

小さなサイズの写真が一面に貼ってある。
一目見て、これはベスト半裁判(4×3cm)のベタ焼きであることが判った。
ベスト判の名称は、BESTではなくチョッキのVESTに由来する。
上着のポケットにも入るくらいコンパクト・・・という謂れから名づけられたものだが、実際に上着のポケットに入れると重くて型崩れしてしまう。
一種形而上の呼称である。
ともかく当時は、ベタ焼きでなんとか観賞できる最小のサイズとして戦後の貧しいときの市民に重宝されたベスト半裁判だった。
もちろん半裁判でないフルサイズのベスト判(4×6.5cm)があったが、これは半裁判の2倍の大きさがあり、ベタ焼きでも今で言う同時プリントのE判くらいの大きさあったが、一本のフイルムでは8枚しか撮影できなくて、もったいなかった。
(手許のベスト判のカメラは以前ご紹介したこちら・・・小西六・パーレット)
そこでいわゆるハーフ判に該当し、その倍の16枚撮れるベスト半裁判が日本国民には重宝がられたようだ。
手許にはこのベスト半裁判のカメラとしては・・・

テッサーをつけたツアイス・ベビーイコンタや・・・

エルマーをつけたナーゲル・ボレンダーなどなどがある。

このようにフイルムの裏にナンバーが書かれた紙が付いていて、カメラの裏窓からその番号を確認しながらフイルムを巻き上げていた。
ところが、父に「この時のカメラは何だったのか」と尋ねても、「蛇腹のカメラだったことは憶えているが、次から次へとカメラを買い換えていた頃なので機種までは憶えていない。」とのこと。
思うに、中古といえどもドイツ製のカメラなんて持っていたとは考えにくく、国産で一番ポピュラーなのは、小西六のベビーパールであっただろうと推察される。
実際、ブローニー判の小西六のセミパールは明治35年生まれの祖父が使っていた証拠がある。(首からぶら下げている写真が残っている。)
手許には同機種がないので、雑誌からの抜粋。

ベビーイコンタのそっくりさんである。
ところで、アルバムの被写体をじっくり眺めてみると、なかなか興味深いものが写っている。
昭和28年10月 大阪市電創業50周年の記念花電車である。

♪カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂♪

この当時の家から程ないところにあった築港線の電車道(現みなと通)で撮影したものと思われる。

ナショナル ラジオ テレビ ・・・もちろん白黒TVのことだ。
両端のピンボケが目立つものがいくつか見当たるが、なぜだろうと思ってしまう。
ベスト判は軸が細く、その巻き込みがきついのでフイルムが浮きやすく、端がボケやすいといわれるが、そのためなのか?それともレンズが安物なのか?焼付け時の平面性の問題か?そもそも固体の故障なのか?
まあ、あの当時のアマチュアのカメラ事情ではこんなものだったのかも知れない。


まだ環状線の高架がこの国道を横切る前だったので、とにかく広々としている。
往来する自動車のなんと少ないことか・・・!!
彼方に望む2本煙突は境川に在った九条発電所のものか?
因みに、行き去る花電車を見送る自転車の少年は身長が足らないので、いわゆる「三角乗り」をしているものと思われる。

現在の同場所から同方向を望む


花電車だけでなく、花自動車も登場していたようだ。
この50周年を機会に720号車を改造して、往年のイメージに復元した二階付電車も登場する。

この車輌は、今でも緑木車庫に保存されている。

昼間だけではなく、夜間の姿も撮影している。
この二階建て電車の電飾は珍しいものではないだろうか?



古くて極小さな手焼きの写真をデジカメ接写したものなので、見苦しいところはご容赦願いたい。
(つづく)

小さなサイズの写真が一面に貼ってある。
一目見て、これはベスト半裁判(4×3cm)のベタ焼きであることが判った。
ベスト判の名称は、BESTではなくチョッキのVESTに由来する。
上着のポケットにも入るくらいコンパクト・・・という謂れから名づけられたものだが、実際に上着のポケットに入れると重くて型崩れしてしまう。
一種形而上の呼称である。
ともかく当時は、ベタ焼きでなんとか観賞できる最小のサイズとして戦後の貧しいときの市民に重宝されたベスト半裁判だった。
もちろん半裁判でないフルサイズのベスト判(4×6.5cm)があったが、これは半裁判の2倍の大きさがあり、ベタ焼きでも今で言う同時プリントのE判くらいの大きさあったが、一本のフイルムでは8枚しか撮影できなくて、もったいなかった。
(手許のベスト判のカメラは以前ご紹介したこちら・・・小西六・パーレット)
そこでいわゆるハーフ判に該当し、その倍の16枚撮れるベスト半裁判が日本国民には重宝がられたようだ。
手許にはこのベスト半裁判のカメラとしては・・・

テッサーをつけたツアイス・ベビーイコンタや・・・

エルマーをつけたナーゲル・ボレンダーなどなどがある。

このようにフイルムの裏にナンバーが書かれた紙が付いていて、カメラの裏窓からその番号を確認しながらフイルムを巻き上げていた。
ところが、父に「この時のカメラは何だったのか」と尋ねても、「蛇腹のカメラだったことは憶えているが、次から次へとカメラを買い換えていた頃なので機種までは憶えていない。」とのこと。
思うに、中古といえどもドイツ製のカメラなんて持っていたとは考えにくく、国産で一番ポピュラーなのは、小西六のベビーパールであっただろうと推察される。
実際、ブローニー判の小西六のセミパールは明治35年生まれの祖父が使っていた証拠がある。(首からぶら下げている写真が残っている。)
手許には同機種がないので、雑誌からの抜粋。

ベビーイコンタのそっくりさんである。
ところで、アルバムの被写体をじっくり眺めてみると、なかなか興味深いものが写っている。
昭和28年10月 大阪市電創業50周年の記念花電車である。

♪カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂♪

この当時の家から程ないところにあった築港線の電車道(現みなと通)で撮影したものと思われる。

ナショナル ラジオ テレビ ・・・もちろん白黒TVのことだ。
両端のピンボケが目立つものがいくつか見当たるが、なぜだろうと思ってしまう。
ベスト判は軸が細く、その巻き込みがきついのでフイルムが浮きやすく、端がボケやすいといわれるが、そのためなのか?それともレンズが安物なのか?焼付け時の平面性の問題か?そもそも固体の故障なのか?
まあ、あの当時のアマチュアのカメラ事情ではこんなものだったのかも知れない。


まだ環状線の高架がこの国道を横切る前だったので、とにかく広々としている。
往来する自動車のなんと少ないことか・・・!!
彼方に望む2本煙突は境川に在った九条発電所のものか?
因みに、行き去る花電車を見送る自転車の少年は身長が足らないので、いわゆる「三角乗り」をしているものと思われる。

現在の同場所から同方向を望む


花電車だけでなく、花自動車も登場していたようだ。
この50周年を機会に720号車を改造して、往年のイメージに復元した二階付電車も登場する。

この車輌は、今でも緑木車庫に保存されている。

昼間だけではなく、夜間の姿も撮影している。
この二階建て電車の電飾は珍しいものではないだろうか?



古くて極小さな手焼きの写真をデジカメ接写したものなので、見苦しいところはご容赦願いたい。
(つづく)
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Comment
2009.05.25 Mon 21:01 |
これはまた、素晴らしい写真を見せていただきました。ずらりと並ぶ花電車は圧巻ですね。
考えて見ますと、市電は、この写真の年から10年も経たずに全廃への道程を歩み始めるのですね。少し感傷に浸ってしまいました。
2009.05.26 Tue 06:53 | *のりさん。こんにちは。
のりさんの愛す阪堺電車の平野線もそうですが、大阪市電も知る人は随分少なくなっているのでしょうね。現在の写真と見比べるといつも感じるのですが、よくこの道幅のところに複線の線路が敷かれていたなあと感じます。ほぼ自動車の路線は1車線しかない勘定です。昔はこれで足りていたというところに今昔の思い一入です。
2009.05.26 Tue 12:57 | *junsbarさん。こんにちは
お立ち寄りありがとうございます。
四谷荒木町の落ち着いた小料理屋でチビリチビリやりながら、こんな昔のアルバムを披くのもいいでしょうね。
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