熊野街道の起点を歩く(5) 安堂寺町~谷町九丁目
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谷六の北側で谷町筋を東に渡ってそのまま安堂寺町を東に進む

このあたりも古い建物がよく残っている地域だ。

サントリービール<純生>・・・懐かしいネ、ヤマちゃん!

こんな路地の奥の袋小路となっているところにも住居がある。

とあるお家の玄関先にあった置物・・・物憂げな風情の獣神が来訪者を見極めている。
これは、かなりの出来ぶりだ。

アジサイのある石畳の小路・・・奥には犬矢来も見える。

この南北の通りを五十軒筋という。
生國魂(いくたま)神社の幟があちこちに見られるようになった。夏祭りが近いようだ。
この日も「一年早いモンでんなぁ」といいながら旧家の前で幟を立てていた人たちがいた。
この正面は突き当たりになっていて左折する。

そこにこの碑があった・・・まだ2.1kmかいな。

突き当りを右に回れば、空堀(からほり)商店街だ。「ハイカラほり」なんて呼称している。
そちらに進むとまだまだ古い町家が数多く残っていて面白いのだが、それだけでもひとつの記事が作れるので今回はパスするとして、前に進む。

すぐに南に折れて緩やかな坂道を下り、街道らしい風情の残る道筋を南下する。

屋根のうねりが・・・なんとも情緒たっぷり

谷町7丁目のところに存在感たっぷりな楠がある。樹齢は500?600年ほどあるらしい。
道路の真ん中にあってそこだけ車道が狭くなっている。
行政が手をつけないところを見るとかなり霊験あらたかなご神木のようだ。
もともとは、本照寺の敷地であったが、大正期に道路拡幅のためお寺は移転したが、この楠木だけ残された。
工事のために伐採しようとしたが、けが人や病人が出てやむなく残ったものらしい。
よってこの通りを「楠木通り」とも呼ぶらしい。

根元には鳥居、祠、賽銭箱が置かれている。
白蛇が住みついているといわれ、地元のひとは「巳(みい)さん」と呼び、この楠木大神を奉じて大切にお祀りしている。
(この辺りに拘らず、なんぞ事あれば、「巳(みい)さん」が登場するような気がしてならない。)
この近く東平(とうへい)一丁目にも同様の場所がある。


祠には石碑があり、中央には末廣大明神とある。また右側には楠珺社(なんくんしゃ)の文字も見える。これは住吉大社の末社で大きな楠がご神体のお宮さんだ。
「はったつさん」といったほうが通りがよさそうだ。
同様の場所は、近くの玉造稲荷南側にもがあるので、このあたりは大樹を大切にする土地柄のように思われる。

この楠木通りの谷町七丁目に近松門左衛門の墓所がある。
真横を通っても気づかないようなところにある。

左側は変電設備であろうか、ブラックボックスのような建物と南側のガソリンスタンドとの間にあるこの細い通路の奥まった左側に・・・こんな感じで残っている。

もともと法妙寺の境内にあったが、昭和42年に谷町筋の拡張工事の際にそのお寺が大東市に移転してしまった。
そこで、お墓も移設すべきところであったが、移動させてしまうと「国の史跡」としての要件を失うために、こんな窮屈な感じになっているらしい。
しかし、もう少しなんとかならないものであろうか。
街道に戻ると・・・

このあたりから町名が上汐(うえしお)に変わる。

街道から久本寺(本門法華宗)の大きな本堂が見える・・・住友家一族の菩提寺は中央区上本町4丁目の実相寺であるが、友似などはここに墓碑がある。

東平二丁目の十字路に古い石碑を見つけた。

南方の側面には、中央に「南無阿弥陀仏 みち」と大書してあり、左側には「右は奈良伊勢」と右側には「すぐ八軒家」とある。
ここでいう「すぐ」とは・・・「距離的に離れていないさま」ではなく「物の形などが、直線的で曲がっていないさま」を指すので「直進」「まっすぐ」ということである。(読者のお一人からご指摘を受けました。)
つまりこのまま真北に進めば、八軒家に至るということだ。
しかし、「東平野町(ひがしひらのまち)」が町名変更でなぜ「東平(とうへい)」になるのか?
不思議で仕方がなかった。
天六・梅新・日本一みたいに町名を短縮したもののように感じるが、訓読みから音読みに変わるので奇異に思っていた。
しかし戦前から東平国民学校などと存在していたことから案外地元民には、昔から受け入れられている呼称のようだ。
作曲家の服部良一氏は、ここにあった東平野尋常小学校(現生魂小学校)の卒業生。
学校の跡地に彼の石碑があって近づくと「青い山脈」の音楽が流れるらしいが、今はフェンスに囲まれていて近づけない。

千日前通に出た。左に行けばすぐに近鉄上本町駅だ。

まだまだまっすぐ行かねばならないが・・・右に曲がって高津宮に立ち寄ってみよう。
(つづく)
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Comment
2009.07.03 Fri 12:06 |
ファジーさんこんにちは。
母がへび年なもので、
「巳さん」を見せていたら、
「すぐ八軒家」について、以下のように申しておりました。
「すぐ」とは「すぐ近く」という意味ではなく、
「まっすぐ」という意味だよ、と。
右左まっすぐ、という対応関係にあるらしいです。
ほんまかいな。
母の言うことですので、
どこまでほんまかは???ですが、
ご参考まで(^^)
このシリーズの旅のしおりをもらえたら、
歩くわと言っておりますが、
誰がしおりをつくるのでしょうか・・・(^^;)
- #-
- ありす
- URL
2009.07.03 Fri 13:56 | カタジケナイ
ご指摘ありがとうございます。
こういうものは口語体ではなく文語体として理解しなくては・・・と分かっているつもりでもついつい思考回路が現在の方に繋がってしまいます(笑)
今後ともご教示よろしくお願いします。
また、このシリーズはまだまだ続きますが、道草も多いので、しおりを作るのは大変ですよ。ありすさんも歩いて事前調査しなくちゃね・・・谷五あたりにはよくお越しになっているとか・・・。
2009.07.03 Fri 22:21 |
都心とは思えないほど、古い建物が並んでいますね。谷町筋辺りは、そういう町並みが、わりに多いと感じています。
上汐町までやってきましたね。
これからの道程が楽しみです。
2009.07.04 Sat 06:00 | のりさん。おはようございます
このあたりは本当に古い家並が残っています。しかしあちこちにマンションの姿も多く見るようになりました。
このシリーズ・・・期限を切らずにだらだらと息長く続けていこうと思っています。
阿倍野・住吉界隈の折にはいろいろとご教示ください。
2009.07.05 Sun 17:52 | 御神木
御神木って今も各地に残っているようですね。京阪萱島駅のものはマスコミでも時々紹介されていますが、阪急服部駅にも近くの服部天神の楠木がホームに祀られています。やはり安全第一の鉄道会社としては切るに切れないんでしょうね。
獣神の石像、なかなかファンキーです。
- #-
- サットン
- URL
2009.07.06 Mon 09:21 | サットンさん おはようございます
どこでも楠木の古木は大切にされているようですね。
鉄道ですら伐採を躊躇するくらいですから、一般道ならなおさらなんでしょう。
2009.10.26 Mon 19:56 | み~さん
うちの母親も言っております。
東平野が都心の平野町か平野区の平野とどういう関係だったを書いた本を古本屋で買ったのですが、友人に貸して10年ほどたってしまいました。
- #JyN/eAqk
- なにわ
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2009.10.27 Tue 07:40 | *東平のいわれ・・・
元はといえば、秀吉の時代に平野郷の町人を城の南に強制移住させたことに始まり、元の平野郷と区別して「北平野町」と呼んでいた。
その後明治22年に船場の平野町(ここも元平野郷の町民が住んでいたところ)と区別して東成郡「東平野町」となり、同30年大阪市東区に編入し、大正14年天王寺区創設で天王寺区。昭和18年地区の北半分が南区に編入された。
そして、昭和50年代の住居表示変更で天王寺区の東平野町は上汐となり消滅し、南区の東平野町は「東平」と省略されて表示されるようになったとの事。
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