熊野街道の起点を歩く(8) 堀越町~阿倍野
四天王寺の参道が谷町筋に合流するところに、この界隈に「堀越町」の町名を残す堀越神社がある。

一生一度だけの願い事をきいていただける神様なので、めったなことはお願いできない。

茶臼山の片隅にあり、余り目立たない神社であるが、こんもりとした鎮守の聖域を持っている癒しの空間である。

桃の木を削ってつくった「桃守り」・・・イザナギ・イザナミの古来より桃は邪気を払うと伝えるので、素材として用いられているようだ。初穂料金壱千円也


八軒家にあった熊野第一の王子「窪津王子」はその後、堀越神社に合祀され「熊野第一王子之宮」として現在に至っている。

堀越神社の南となりのビルである。
動物病院スタッフ養成学校のようだが・・・なんとも豪快な装飾看板であろうか。
向かい側には商店街が広がっているがいろいろと面白いお店がある。


老舗の赤松種苗店・・・古い木造店舗の風情が好ましい

駅前商店街の奥には、忘れ去られたようなアーケード(阪和商店街)も残っている。

毎日新聞でも紹介された、知る人ぞ知る立飲みの名店「花野商店」

こんな看板もある・・・見たとき思わず唸ったね。
街娼・・・ほとんど死語のような気がしたが・・・2007年のTVニュースを見ると・・・
・・・街娼は、現役だった!
ようやくJR天王寺駅に到着。

駅舎は「阿部野橋」の上に建設されており、この路面の下は、JRの線路が左右に延びている。

阿部野橋の上から西側を望めば、JRの路線が行き交う隅っこに、平成5年に廃止された南海・天王寺支線のレールおよび架線柱が今だに残されている。
昔の天王寺駅はこんな具合だった

阿部野橋南詰から北を望む(昭和24年) 奥の建物が阪和線口(旧阪和電鉄ターミナル)
もっと昔は、阿部野橋の橋の上にはなにもなかった。

阿倍野橋の北詰から南東を望む(昭和12年)・・・建設中の大鉄百貨店(現近鉄百貨店)の鉄骨が見える。
当時は阿倍野橋北西・今の阪和線ホームの西詰に駅舎があって、南側には長い回廊のような通路を渡って出るようになっていた。 その通路の様子もみてとれる。

大阪市パノラマ地図(大正13年)より
阿倍野橋の上には、今より北伸している阪堺電車の終着駅(天王寺駅前)が見える。
ここは、JR・近鉄・地下鉄・阪堺電車が集結するビックターミナルとなっている。

JR天王寺駅・中央改札・・・上部の壁面に、各路線の平日・日祝ダイヤがずらりと並び、自動改札は、一列に21ゲートが並ぶ大改札口である。

コンコースにはこんな立看板が・・・時代の流れを感じるものだ
近鉄阿倍野橋駅・西口改札

こちらは、大改札口を通して発着する電車の姿が見渡されるのが嬉しい。

こちらの自動改札口は、16ゲートを数える。
阪堺電車は昔と大差ないので、既出ではあるが昨日のような昭和48年の写真を・・・

改札口は、非自動改札2門のみ

現在の様子
地下鉄御堂筋線・天王寺駅西改札・・・

自動改札15ゲートが一列に並ぶ。

東口は16ゲートである。柱がないので一列に並ぶと壮観である。

昭和13年開設当時からの行灯式照明灯は、ホームから東口改札への階段に一基だけ残されている。
思えば、ここで70年以上も光を放ち続けていることになる。

そのほかの照明は、8本の蛍光灯をパラソル型に組み込んだユニークなものになっている。
また取り付け場所は、ホーム中央ではなく、ホーと線路の境目あたりというのが、面白い。昔の行灯式照明と同じ場所である。

高い天井には程よく調和する照明器具であるように思うとともに、格天井の柱の四隅の照明も時代を感じるものとなっている。
今日はこのまま地下鉄で帰宅する・・・やれやれ
(参考)

露天掘りで進む地下鉄1号線建設工事の様子(昭和12年) 阿倍野橋南詰から北東を望む
中央の白い建物が省線の天王寺駅で、後の建物が阪和電鉄の阪和天王寺駅となる。
(つづく)
追記:次回の「熊野街道の起点を歩く(9)」は→こちら
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Comment
2009.07.14 Tue 13:06 |
まるで昨日のような(^^)
昭和48年(^^)
でも、看板を見るにつけ、
合併とかいろいろで
今はなくなっている会社名の多いことに
驚きますね。
近鉄百貨店が新しくなったら
また雰囲気変わるのでしょうね。
- #-
- ありす
- URL
2009.07.14 Tue 14:26 | ありすさん こんにちは
あっそうか!昭和48年はありすさん御生誕の年でしたね。それを「昨日のような・・・」なんて言うと失礼ですよね。でも文面は訂正しませんよ・・・(笑)
今回は、テーマの熊野街道からかなり脱線してしまいましたが、これも沿線風景としてご容赦くだされ。
2009.07.14 Tue 23:02 |
天王寺駅までやって来られましたね。
着実の変貌を遂げてきている感があります。近鉄阿部野橋駅も美しくなりました。
地下鉄御堂筋線天王寺駅の構内も素敵なデザインで私は大好きです。一基だけ残る行燈スタイルの灯り、
かつてはずらりと並んで壮観でしたね。
梅田や心斎橋とは趣を異にした直線的なデザインはいいですね。
上町線天王寺駅前駅の写真、初夏の雰囲気ですがいかがでしょう。昭和48年初夏だとすると、天・浜直通運転が中止された直後ですね。
2009.07.15 Wed 07:04 | のりさん おはようございます
地下鉄御堂筋線天王寺駅にかつてずらりと並んでいた行灯形照明・・・たしか当時写真に撮っているはずなんですが、今回探し出せませんでした。後日発見できればアップいたします。
上町線の写真は昭和48年6月17日に撮影したものです。36年ぶりの天・浜直通運転・・・隔世の感を感じますね。
2009.10.30 Fri 21:23 | 園芸店
レスがない様なので、進みます。
昔の街の園芸店はこういった感じで、あと、豆なんかがありました。
田舎のそれは、ただ地面に並んでいたりしました。
それにしても昭和さながらの商店街ですが、どこもひっそりしてますね。
- #JyN/eAqk
- なにわ
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2009.10.30 Fri 23:19 | *なにわさん こんばんは
ここの赤松種苗店は、特にレトロでしたね。
少し前までこんな純木造のお店は多くあったのですが、近頃とんと見受けません。た~まにあっても、どこかにアルミサッシが組み入れられたりして感心しないお店ばかりになりました。
阪和商店街は、時空ポケットに陥ったようなかなり強烈な一角です。