京都・パビリオンコートでのウェディング(前編)
場所は京都・粟田口であるので、京阪と地下鉄を利用して向かう。
朝方まで雨降りだったが、若い二人を祝福するかのように京都に着く頃には快晴となった。
平安神宮の南側にのびる神宮道を下ったところにあるパビリオンコートが会場である。

お向かいには青蓮院門跡があり、秘仏の青不動(国宝)が創建以来のご開帳とのことで朝早くから多くの善男善女が訪れていた。



ここは、明治期の倉を改装したエントランスと大正期に建てられた洋館とで構成されているパーティスペースである。
平成15年10月 有形登録文化財として登録

そもそもこの建物は、大阪・高麗橋を本拠として国際的な美術品輸出業として一時代を築いた山中商会が経営していた東洋美術品陳列館として使用されていたところで、内外の賓客の訪問も繁多で、あちこちに非常に凝った意匠がうかがえる。
大正5年の同館の開設披露は三日間おこなわれ、府知事はじめ貴族議員、衆議院議員、市長、府・市会議員ほか鴻池・住友・三井等の顧客らが縦覧した。同社の建築は日本風三階建てでそのなかで和洋風室内装飾、古書画展覧、煎茶、陶器、彫刻、銅器、服飾などが観覧に供されたという。
元陳列館ということで、バビリオン・コートというのであろう。



エントランスになにげなく置かれた古い椅子だが、正面からの龍の絵柄が彫られてあるので、清朝期の名品ではなかろうか。

地階に該当する元は倉庫だったと思われる場所は待合室で、そこには、静かにジャズが流れ出て居心地の良い空間となっている。


プリとメインアンプがマッキントッシュC34VとMC7270およびスピーカーがJBLという仕立てでオーナーのこだわりが窺えるオーディオシステムである。


挙式は、1階ホールであった。

磨き上げられたマホガニーの床面と格天井を配された空間および扉と窓の上部・周囲の雰囲気を見るにつけ、同じく20世紀初頭に建設された京都府庁旧本館内部と共通した意匠が配され、大正モダニズムを現代人に対して上品に提供しているホールとなっている。
人前結婚式ということで、神官も司祭もいない。またお互いに大学時代からのお付き合いなので仲人もなし。
考えてみれば、至極自然な挙式であり、新郎新婦の虚飾を捨てて実質的な挙式をしたいという意気込みが感じられる。

窓からの柔らかな自然光がなんともやさしく二人を包む。
人前結婚式・・・出席者全員が証人となり、二人が結婚を報告するスタイルだが、これは日本古来の祝言に他ならない。
我々の両親の結婚式はそんな具合だった。当時の結婚式はそれぞれの自宅で執り行われ、出席者に夫婦となった旨の報告をなし列席者がそれを承認する。そこには神様も仏様も介在していなかった。
今回も、それぞれのご親族が手助けして、結婚式を運営していた。
両家の父君が立会人として結婚誓約書に連署し、母君が結婚指輪を手渡し、兄弟姉妹が三々九度の盃を差配するといった具合で進行した。
両家の皆さんに役割分担があり何かと大変だが、家族ぐるみで挙式を進行しているということは列席者にひしひしと伝わってくるし、何より手助けしていただけるご両親がともに健在であるというのが恵まれているし、また親孝行ではないかと感じた次第・・・大変感銘深いお式でありました。

大役を終え、自然と笑顔がこぼれる新郎と新婦・・・おめでとう!
結婚式が終われば2階のホールで披露宴が始まる。

(2階の階段欄干飾り)
披露宴も非常に凝った趣向のもので、全くもって愉快なものとなったが、スペースの都合上詳細は次回に・・・
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Comment
2009.10.06 Tue 18:11 | いいムードですねぇ^^
明治の倉と大正の洋館ですかぁ!
こんなところを式場に選んでくれたら
集うほうも楽しいですよね♪
やたらとドライアイスを使ったり、
天井からゴンドラが下りてくるような
意味不明の結婚式とは
比べようもありませんね(笑)
- #-
- ぼんくらオヤジ
- URL
2009.10.06 Tue 18:41 | 最近の婚礼事情
婚礼の様式も多様化して来ましたね。以前のようなお仕着せのパッケージ商品じゃ話になりません。仲人さんを立てるというのも少数派になりました。
会場も然り。ホテルの式場だけじゃ満足いただけませんので外部の式場とホテルが相互送客したりとリクエストに対応するのに懸命です。
パビリオンコート、クラシックな良いムードですね♪
- #-
- サットン
- URL
2009.10.06 Tue 20:44 | *ぼんくらオヤジさん こんばんは
この式場は、かなり時代物の建物なので、内部をあちこち探検したり、謂れを調べたりとおかげで時間をもてあますことがありませんでした。
今でもゴンドラやドライアイスの派手な趣向の結婚しきってあるんでしょうか?
名古屋は派手だと聞きますが・・・。
2009.10.06 Tue 20:53 | *サットンさん おっしゃるとおりで
流石最前線にいらっしゃるプロは違いますね。
確かにホテルのパック商品では新郎新婦も列席者も満足しなくなってきています。何らかの付加価値・サプライズが必要なんでしょうね。
それだけに主宰者側と提供側の知恵比べと他者には無い努力が必要になってくるんでしょう・・・しんどく難しい時代になりました。ふーっ!
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