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昭和56年の国鉄・小海線訪問記

前回からのつづき・・・

昭和56年11月30日 4泊5日の日程で行われた軽井沢におけるスケートの集中授業も無事終了し、お昼には現地での解散となった。

せっかく軽井沢まで来たのだから、そのまま帰るのは何とも惜しい・・・いつもの放浪癖がむずむずと騒ぎ出した。

次回浅間山を眺めるのはいつの日になるか判らないし、思い切って小海線を探訪することとした。

もちろん「高原のポニー」と称されたC56の現役の姿は望むべきもないが、日本最高地点を通過する路線であるので、訪れても損はないだろう。

19811126軽井沢スケート004-1

中軽井沢駅では、みんなとは反対側のホームに佇み、13:25急行「信州1号」長野行きに乗車する。

右手に浅間山をながめつつ、信濃追分・御代田を経て13:43小諸に到着。ここからは小海線である。

19811126軽井沢スケート006-1

乗車すべき列車は、13:56発の普通列車小海行 142D


車輌は、キハ52とキハ57の二輌編成だが、もちろん味わい深いキハ52135に乗車する。


出発の後、しばらくは信越線と並行して東に向かい、乙女駅附近より南下する。

内燃車輌のエンジン音が一層騒がしくなり、これより上り、上りの連続であることを示している。

初めての路線なので、窓外の景色をつとめて見る。

右には浅間山同様雪を頂いたすこぶる高い山並みが、遠方に霞みつつ続く。蓼科高原方面であろうか?



途中の中込駅に機関区あり。ただし見るべきものも特段なくそのまま小海に向う。

さすがに車窓からの景色にも飽きが来たのか、うつらうつらし始める。

閑散とした車内には、振動とともに聞こえてくるエンジン音と睡魔を誘うジョイント音が響くのみ。




19811126軽井沢スケート008-1

15:03 はや夕暮れのたたずまいの小海駅到着。千曲川に沿った小さな寒村である。

R0016755-1.jpg


19811126軽井沢スケート007-1

15:09小諸行き243Dが入線した来た。 旧塗装のキハ55とキハ52の組み合わせだ。

19811126軽井沢スケート007-2

キハ55の前面3ヶ所の換気口に施された几帳面な目張りに寒さを感じる。



19811126軽井沢スケート010-1

次の乗るべき小淵沢行きは、向こうのホームに見える16:01発の小淵沢行き 244D



それまで、しばし待合室での休憩となるが、その間にもDD16牽引の貨物列車が現れ、退屈することはなかった。

19811126軽井沢スケート009-1

中込区所属のDD16のファーストナンバー

15:30頃下っていった。




定刻前には、キハ5255のボックス席に陣取るが、車内は閑散としたまま出発した。

小海を出ると、国鉄最高点に向ってエンジン音いよいよ高らかに轟き、車窓の光景も急勾配と一瞥できる線路をゆっくりとしたスピードで登っていく。

野辺山に近づくに従って積雪が多くなる。このあたりはもう冬景色である。

19811126軽井沢スケート012-1

16:53野辺山到着。まわりは完全に陽が落ちた薄暗い空の下、白い雪の照り返しでぼんやりと明るくなっている。

野辺山 海抜1346米

R0016753-1.jpg


R0016955-1.jpg

開通当初の野辺山駅(昭和10年)・・・お洒落な駅舎がご自慢だったが、後年火災で消失した。



野辺山駅を出ると国鉄最高地点にさしかかる。

何か標識はないかと探していたが、16:56急にエンジン音が静かになり、惰性運転となった。すなわちそこが最高地点であった。1375メートル、外はもう漆黒の闇である。

19811126軽井沢スケート011-1

そこからは静かなジョイント音のみが響き、下り勾配を下っていく。この余りにも明確な峠越えというのもなんとも愉快である。



小海線の位置は、下記のとおり

R0016944-1.jpg
日本鉄道旅行地図帳第6号北信越(H20.10.18新潮社刊)より


同じ場所を大正14年当時のものと比べてみる。

R0016945-1.jpg
日本全国鉄道路線図(T14.3末現在 鉄道省刊)より

この地図を見ると、小諸?小海(小海北線)は、私鉄の佐久鉄道として開通済みであるが、小海?小淵沢(小海南線)は、赤線で表示された鉄道省工事未着線となっているのが分かる。小さな地方鉄道ではこの区間の線路施設は困難であったのではなかろうか。昭和9年に佐久鉄道は鉄道省に吸収され、野辺山駅開業は、昭和10年11月29日。

因みに中央線・茅野から蓼科山の北側に白樺湖を経由して信越線・田中に向けてもう一本私鉄の計画線が描かれているのが驚かされる。

もし完成していれば、さらに風光明媚な高原観光路線となったことだろう。

また地図上では、諏訪湖環状鉄道も計画されていたようだ。




さてさて、小海線の終着駅は、山梨県の北部に位置する小淵沢。この駅の構内の広さに比べ駅舎は小さなものであった。

R0016756-1.jpg


売店で、「高原野菜とカツの弁当」とビールを求めて、17:43急行「アルプス12号」で新宿に向う。


東京に近づき、中央線のオレンジバーミリオンの車輌がすれ違うようになると、いよいよ大東京である。


今まで山の中にいたためか、そもそも田舎生活になじんでいたためかよく分からないが・・・

終着駅新宿附近では、そのネオンの洪水とヘッドライトの放列が視野に入ると、
思わず「わぁー!」と叫ぶとともに、目に痛みを感じ、まぶたを閉じてしまった。







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Comment

2010.02.25 Thu 12:57  |  

昔の小海線って、こんな感じだったんですね。
今は新幹線もありますし、東京からも気軽に日帰りで小海線の旅ができそうです。

JR最高地点は一度行ってみたい場所です!

  • #-
  • うたに
  • URL

2010.02.25 Thu 13:37  |  

なんともおとぎの国の駅舎と待合室なこと。

この時期なら、弁当と缶ビールを持ってサハシ165に直行ですね。
この数カ月後に編成から外されてしまいますから。

  • #JyN/eAqk
  • なにわ
  • URL
  • Edit

2010.02.25 Thu 17:16  |  期待を胸に小海線!

私はこの記事の翌年7月に小海線を訪ねました。不純な期待を胸に当時人気絶世の清里に一泊しましたが・・・。
しゃべりの悪友が一緒だったので車窓はほとんど記憶していません(笑)。野辺山の電波望遠鏡程度かな。

  • #-
  • サットン
  • URL

2010.02.25 Thu 20:46  |  

この時代の小海線は味がありましたねぇ! 車掌さんが折に触れて観光案内を車内放送してくれることがありましたし。

  • #-
  • ぼんくらオヤジ
  • URL

2010.02.25 Thu 23:13  |  *うたにさん こんばんは

今の小海線・・・なんだか小綺麗に、そしてこじんまりと収まっているようで、少し残念です。

2010.02.25 Thu 23:16  |  *なにわさん こんばんは

サハシ165ですか・・・。あの当時は、珍しくもなかったので、別に出向いたりしませんでした。自席で駅弁食べれば間に合いますのでね。

2010.02.25 Thu 23:18  |  *サットンさん こんばんは

当時の清里は人気がありましたね。
斑尾なんてのも人気のスポットではなかったでしょうか。
しみじみ思うのですが、今の若者とどの辺りが違うのでしょうか?

2010.02.25 Thu 23:20  |  *ぼんくらオヤジ さん こんばんは

しかし、世界中でその見聞を広められただけでなく、極東の島国のローカル事情にもお詳しいですね。驚きました。

2010.02.28 Sun 11:29  |  いつか乗ってみたい路線です

長らく長野の諏訪周辺を担当していましたが、小海線は小淵沢で眺めるだけでした。

しかし、茅野~田中区間や諏訪湖環状鉄道などもし建設されていたら・・と考えると
普段見慣れた景色だけに想像するだけでも楽しいです。

今年は御柱だけに、諏訪湖環状鉄道などあったら大活躍だったでしょう。

  • #-
  • OCEANBREEZE
  • URL

2010.02.28 Sun 14:29  |  珍しくもないどころか

東北では1977年9月、北陸では1978年初頭、九州と信越と上越では1978年6月に、アルプスのサハシ165は最後の存在になっておりました。

  • #JyN/eAqk
  • なにわ
  • URL
  • Edit

2010.02.28 Sun 15:33  |  *OCEANBREEZEさん こんにちは

諏訪湖環状鉄道なんて楽しくていいですね。
過日小諸から望月町まで長時間路線バスに揺られていきましたが、このルートにも計画があったようですね。

2010.02.28 Sun 15:35  |  *たにわさん こんにちは

当時はあまりサハシには興味を示していなかったようです。実際利用した記憶もはなはだ曖昧です。

2017.12.08 Fri 12:50  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • #

2017.12.08 Fri 15:47  |  某さま

ご指摘ありがとうございます。
対応を考えたいと存じます。

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 阿房(あほう)と云ふのは、人の思わくに調子を合はせてさう云ふだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考へてはゐない。
 
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長崎の鴉・・長崎阿房列車

段段車窓が薄暗くなり、汽車が次第に濃ひ夕闇へ走り込んで行く時に聞く汽笛の響きは、鼻へ抜けたかさ掻きのやうな電氣機關車の聲よりも、蒸氣機關車の複音汽笛が旅情に相應しい。


          


  いつの間にか窓が眞暗になり、窓硝子に響く汽笛の音が、蒸氣機關車C62の複音に變つてゐる。


          
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