クラシックカメラのジャバラ再生について(2)
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- ∇愛しき冩眞機 - ├中判・大判・etc
ナベル社に、新しい蛇腹を作ってもらうには、正確な寸法を指定用紙に記入しなければならない。
まず8年型パールから蛇腹をはずす。
シャッターマウントは4つのねじで台座から取り外すことが出来るので、苦もなくできる。
しかし、手前のボディー側は、接着剤でベタリと貼り付けてあるので、簡単にはいかない。
手許にリムーバーがあったので、それを張り合わせ箇所に垂らして暫く置くことに・・・。

そうすると70年前の接着剤がゆるんで来た。
程なくして完全に取り外すことができ、これならなんとか寸法が計測できそうだ。

ただ、かなりのヘタリがあるので、寸法が測りにくい。中央と端とでは長さが異なる。う?ん困ったなあ。
まあ昔のカメラなので、そう厳密にしなくても何とかなると思い、長さを特定し、用紙に記入した。
会社には、用紙と併せて実物も添付して送った。
数日後、設計図面が出来上がって送られてきた。

その立派な図面に精密機械を見るような思いがする。
内容OKの回答をして、代金+送料の振込みを済ませ、製作に取り掛ってもらった。
鶴首で待ちに待った完成品が、ついに送られてきた♪

開封前に記念写真を・・・

取り出して眺めると・・・立派なジャバラが現れた。

折の部分は、凄くシャープで、畳み込んだときにラインが整然と並ぶ精緻な美しさはたとえようがない。
さすが専門家の技術は素晴らしい。素人では、絶対にこうはいかない。

また最も難しい角の処理も完璧だ。どの様にすればこんなに美しく折り込めるのか、不思議に思えるほど綺麗に揃っている。
まさに匠の技によって産み出されたたいへんな工芸品である。とにかく美しい♪
両端の処理も実物を提示しているので、同様の処理をしていただいている。
しかしながら・・・見ているだけでは、何とも進展がないので、ここでふと吾に返り・・・早速、取り付けにかかった。

果たして、全く違和感のない仕上りとなった。
また、ボディー側の端にはボンドで直接取り付けたが、サイズぴったりに仕上がっているので、接着剤がなくてもジャバラがガバガバすることなく、定位置にきちんと落ち着いている。
このようにして眺めると・・・カメラは、レンズや躯体だけでなく、仲を取り持つ蛇腹の存在も、これまたカメラの美しさを左右する大きな要素であるということを改めて感じた。

これが完全復活した名機「8年型パール」(昭和11年製)・・・70年前の姿が甦った!

ジャバラの一面にはナベル社製であることを示すシールが、慎ましやかに、しかし矜持をもって貼付してある。

収納した状態で裏蓋を開けた様子・・・ここにブローニサイズのフイルムが接することになる。画面サイズは6cm×9cm

折りたたみ時、そして立ち上げ時の力の加わり方にも無理なくスムーズな動きをしてくれているようだ。

レンズは、六櫻社の名玉「Hexar 11.5cm f4.5」・・・週末に予定しているUSJでの試写が楽しみだ♪
そして・・・
ナベル社の○○さんをはじめスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
お陰さまで、「棚の飾り」か「抽斗のコヤシ」になりかけていた1台のクラシックカメラが、新品当時の姿に甦りました。
・・・つづく
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Comment
2010.03.08 Mon 07:54 | 凄い…
古典機に新製蛇腹、ボディ程度の良さと相まって
まるで昭和前期にタイムスリップしたかのうようで非常に美しいっ!
それにしても、どうやったら角の処理が完璧に出来るのでせう。
自作蛇腹のウィークポイントでもありまして、ここで躓くと言う(涙
>カメラの美しさを左右する大きな要素
まさにその通りですよねぇ…
記事を拝見し、モチベーション爆上がりになったので
こちらも頑張って蛇腹を作らねば。
2010.03.08 Mon 08:46 | 素晴らしい~っ!
ファジー様とナベル社の技術と感動の成果に、言葉もありません。素晴らしい出来ですね!
カメラのデザインも美しい。
USJでの作品に期待いたして居ります。
2010.03.08 Mon 12:47 | *Agasさん 今日もはよから・・・
今朝も早くからコメントを頂きありがとうこざいます。
見事に復活再生した我が家のパールを見てやって下さいな。
美しいジャバラでしょ。中古カメラばかり見ているので、新品のジャバラを見るのは初めてで、思わずうっとりとしちゃいました
2010.03.08 Mon 13:00 | *む~さん ありがとうございます
ジャバラカメラを見たことのない若者と違い、実際ご利用されていたむ~さんからご覧になれば、このカメラの復活ぶりをご理解いただけると思います。お褒めの言葉もそういう背景があってのものと感謝しています。
こうして70年前のカメラが新品のように復活できたのも、機能がシンプルなので修理が簡単なところと、ナベル社の技術力があればこそと、感謝しきりです。
2010.03.08 Mon 18:40 |
これは歴とした工業製品の製図であります。昔,書かされました。
ここまできっちりとしたものであれば、あと70年は使えそうであります。
- #JyN/eAqk
- なにわ
- URL
- Edit
2010.03.09 Tue 12:10 |
すごい!
うちはラジオと違ってカメラの中身のことはさっぱり分からないけれど、今でも修理すればよみがえるというのが素晴らしいです。
どんな写真が撮れるか、楽しみです!
- #-
- うたに
- URL
2010.03.09 Tue 12:37 | *なにわさん こんにちは
昨今のデジカメと違い、手をかけてやればまだまだ使えるのがクラカメのいいところです(但し銀塩フイルムがある限り・・・ですが)。
2010.03.09 Tue 12:43 | *うたにさん こんにちは
最近のデジカメなんかはお手上げですが、クラカメだとなんとか手入れができるので愛着が湧きますね。
でもこのカメラよりラジオの中身の方がずっと複雑だと思うのですが・・・。
2010.03.09 Tue 16:05 | マイジャバラ!
蛇腹のオーダーメイドって初めて聞きました!
なんぼかかりました?などと野暮なことは訊きません。
カメラに対する愛着に敬服です。
- #-
- サットン
- URL
2010.03.09 Tue 16:56 | *サットンさん こんにちは
古典写真機の場合、同じようなジャバラに見えてもいろいろとサイズがあるようなのです。大は小を兼ねるとの原則が通用しない事例が多々あります。
従ってオーダーメイドで作ってもらうのが一番なのです。もちろん費用はかかりますが、長年使おうと思うとぴったりのものでなくては、綻びがでてきますのでネ。
今回は橋渡しのSさんのおかげで実現できました。
2010.03.10 Wed 10:33 | *ぼんくらオヤジさん こんにちは
コメントありがとうございます。
昔のカメラを現代に甦らせることを趣味のひとつにしていますし、ジャバラのオーダーメイドというのは初めてだったのこともあり、こういう記事にいたしました。
やはり「昭和」のものは大切にしなきゃネ♪
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