USJで六櫻社8年型Pearlの試写
- Wed
- 00:00
- ∇愛しき冩眞機 - ├中判・大判・etc
平成22年2月20日(土)ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に出かけた。
もちろんジャバラの再生により70年前の姿に甦った六櫻社8年型パールをお供に・・・。

純正のフードがないのだが、手許にある戦後に発売されたコニカI型(昭和23年)のチープなかぶせの角型フードがなぜかしっくりと合致した。
戦前と戦後、ブローニ判と35mmの違いはあれど、同じ会社のカメラだけあって融通が効くものだ・・・と感心しきり。
ショートレリーズは、外様であるイーストマン・コダック社(米)のNo.29 Cable Release

フイルムは、ブローニ判のフジのNew PRO 400 (自宅の冷凍庫で保存してあるものを解凍して使用)
このカメラのフイルムサイズは、6cm×9cmなので、1本のフイルムで8枚しか撮影できない。
デジカメのようにバシバシ連写してあとでバッサリ消去すればよいという代物ではなく、一枚一枚をいとおしむ様にして撮影する。
また古典写真機の場合、お茶の作法のような一連の所作が欠かせない。
その壱、静かに前蓋を開き、鏡玉(レンズ)を正しく屹立させるべし。
その弐、フアインダーを覗き、被写枠を定むべし。
その参、底の螺子(ネジ)を静かに巻き上げ、フイルムを正位置に留むべし。
その四、正しき絞りとシヤツター速度を撰ぶべし。
(手馴ともなれば適正値は露出計なしにて撰びたし)
その五、ピントは目測で合わすべし。
(近距離に於いてはピンボケ生み易きが故に慎重怠るべからず)
その六、両脚を開き体を安定せしめ、両脇を閉ぢ両手にて写真機を確実に保持すべし。
その七、息を殺し心静かにシャッターレリーズをゆるりと押込むべし・・・ カシャリ!

園内の中心部分にあるメルズ・ドライブイン(1/125 f16)・・・50年代の元気のよかったアメリカを象徴するようなドライブイン
パステルカラーの色乗りもよく、シャープに撮影できている。
※USJのオープン当時と比べパステルカラーが地味になっているように感じるが、これはコーティングのないレンズによる低コントラスト描写によるものだけでなく、経年変化による建物全体の塗装の劣化が加味しているものと思われる。

入口附近の大銀傘の中にあるサイン・コレクションの館(1/125 f5.6)
日陰になり、絞りはf5.6とほぼ開放に近いがシャープネスは維持されている。
このあたりはHexarの本領発揮といったところか。

二階バルコニー部分のアップ
これだけアップしても細かな線に崩れが見えないのは驚きである。

これは園内にある毎日放送の建物 “ MBSスタジオ in USJ” (1/125 f16 部分)
メタリックな部分がどれくらい表現できるのか?
・・・と思ってシャッターを切ったが、如何だろうか?
(フラットベッドからのネガスキャンなので、多少のアンシャープマスクは加えているが・・・)
とにかく70年前の戦前のカメラではあるが、現在でも十分通用する内容を持っていることが証明された。
これからも頻繁に使ってやりたい・・・こんなことを云うと、ライカやコンタックス・レチナなど・・・他のカメラが夢に出てきて恨み言を云うので困る(笑)

早春の日差しが感じられるUSJ門前での記念写真・・・整ったジャバラの畝のコントラストも実に美しい♪
【完】
- 関連記事
-
- Super Ikonta 531で港町散歩 (2019/02/03)
- USJで六櫻社8年型Pearlの試写 (2010/03/10)
- クラシックカメラのジャバラ再生について(2) (2010/03/08)
- クラシックカメラのジャバラ再生について(1) (2010/03/06)
- 日本最古のカメラメーカー “堆錦(ついきん)カメラ” (2009/06/27)
- Carl Zeiss Planar 75mmf3.5 (2008/12/19)
- Rietzschel Clack(リーチェル・クラック)といふ冩眞機 (2008/10/23)
- 古典写真機同好会?ハッセル祭りだ! (2008/08/25)
- 報道写真傑作集とスピードグラフィック(その1) (2008/06/20)
- ベストエキザクタ(B) (2008/04/23)
- 「八九式活動写真銃」 (2007/08/03)
- 「六櫻社 パーレット出づ!!」 (2007/07/24)
- 「100年前の冩眞機」 (2007/06/01)
- 「ローライフレックス4台揃い踏み」 (2007/05/28)
- 「ジャンクなジャバラカメラ」 (2006/12/27)
- Genre :
- 写真
- ★カメラ&レンズ・機材
Comment
2010.03.10 Wed 08:21 | これは凄い
やはり Hexar は凄いですねェ…
Opter は f11 くらいからボケが激しくなって三脚が欲しくなるんですが、
開放でこれだけ撮れる Hexar なら三脚いらずですね。
高級パールの呼び名は伊達じゃないですッ!
凄いっ!欲しい(笑)
2010.03.10 Wed 09:20 | *Agasさん おはようございます
今朝も早くからのご訪問、ありがとうございます。
Hexarは、ライカLマウントやセミパールIV、KonicaIのもの等といろいろ所有していますが、どれも驚くほどよく写りますね。安心して利用できます。
このPearlもすべて手持ち撮影でしたがブレはなく、またフイルムの平面性には何ら問題もなく快適に撮影できました。ジャバラの遮光性はモチロン何ら問題ありませんでした。
ただエバーレディシャッターは、レリーズのショックが大きいので苦手です!
Opter付のカメラは持っていないのですが、同様式の手許にあるパーレットのZionは、仰るとおり少々不安なところがあります(笑)
http://fuzzyphoto.blog120.fc2.com/blog-entry-595.html
2010.03.10 Wed 12:38 |
すごいなぁ~。。70年前のカメラとは思えないくらい良く撮れていますね!
おそらく読んだ方は皆驚いたと思うのですが、一番驚いているのはUSJの風景を写したこのカメラ自身かも知れませんね!
- #-
- うたに
- URL
2010.03.10 Wed 16:41 | *うたにさん ありがとうございます
>一番驚いているのは・・・このカメラ自身
フフフ・・・ほんとにそのとおりだと思います。
昭和10~11年といえばコダックやアグファがライカ判のカラーフイルムを売り出した年ですが、極東の小国でどれだけ利用されていたか甚だ疑問ですし、一般的なフイルムではありませんでした。
ほとんど白黒フイルムしか体験したことのないカメラが、時を経て現在の高感度の優秀なカラーネガフイルムを体内に蓄え、カラフルな景色をレンズ越しに見るとどんな気持ちがするものでしょうか?・・・そんなことを思うと、楽しくなります♪
2010.03.10 Wed 18:21 |
PN400の豊かな階調を見事に引き出していますねぇ! カラーを前提したコーティングが施されているわけでもないのに、フィルタリングせずにここまで写れば天晴れという他はありませんね(笑)。深い喜びを感じました。感謝です!
- #-
- ぼんくらオヤジ
- URL
2010.03.10 Wed 23:37 | 銀塩党は
一枚一枚いつくしんで撮るんですよ。
ところでこのドライブイン、経年劣化でへたりこんできた60年代後半~70年代の合衆国ってところでしょうか。
- #JyN/eAqk
- なにわ
- URL
- Edit
2010.03.11 Thu 09:55 | *ぼんくらオヤジさん おはようございます
さすがネガの取り扱いには慣れていらっしゃる。私も階調豊かなネガが大好きです。
仰るとおり、レンズはノーコーティングですが、レンズ構成が単純な3群4枚というテッサー型が奏功したのか、抜けの良い表現をしてくれます。これを見ていると、最近の妙な非球面レンズなんて要りませんね(笑)
2010.03.11 Thu 09:57 | *なにわさん おはようございます
なにわさんは、根っからの銀塩党でしたね。
最近は、フイルムの種類が少なくなると共に値段が高くなってきているようで、困ったものです。
Trackback
- URL
- http://fuzzyphoto.blog120.fc2.com/tb.php/968-b33440fc
- この記事にトラックバック(FC2Blog User)