昭和57年南紀一周気まま旅(その2) 串本~尾鷲

前回からのつづき・・・昭和57年8月7日紀勢本線の旅は続く

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新宮駅は、大きなヤードがあり、ホームも数本有するこの地の基幹駅である。

駅舎は昭和30年代を髣髴とさせるガラス張りのモダンな造りで、駅前広場の大きな棕櫚の木とともに南国らしさを呈している。

ただし、先日の台風禍なのか? 駅名板の「宮」の字が欠損しているのはいただけない! 


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13:52 紀伊勝浦行き 特急南紀1号 右の列車が我々の乗ってきた普通列車新宮止まり


構内では、振子電車の「くろしお」やディーゼル車輌の「南紀」が左右から到着するのを見て電化・非電化の分水嶺となるべき駅の特徴を感じる。


名物「めはり寿司」を求めたが、寿司とは名ばかりで握り飯に近いもので、美味とはいい難し。
新宮14時39分発の亀山行き普通330列車に乗車

前からキハ4512+キハ4515+キハ402028という編成で最後尾に乗車する。

今までの客車列車のジョイント音と異なり、ヴォーン・ヴォーンと轟くエンジン音も快くレールの上を進んでいく。

山はいよいよ深まり、川の色も深みを増し人家もまだらとなり紀勢線のなかでも開通が遅れた地域であることを知らしめる。

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15:07 阿田和駅で南紀3号と対向


熊野市を過ぎ単調な車窓が続く中で、ひときわ目を瞠ったのが、新鹿(あたしか)海水浴場である。

那智駅のように駅前が砂浜といったものではないが、その砂浜の美しさは群を抜いていて那智のときにも増して泳ぎたくなる。

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亀山行き330D(キハ402028ほか)と対向する新宮行き125列車


車中はすでにガランとして、イバさんと呑気に昔話や鉄道話をしている内に今日の宿泊地「尾鷲(おわせ)駅」に到着する。

16時11分・・・今朝列車に乗ってから10時間半を経過していることとなる。


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(翌8月8日撮影のもの)

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駅前の日通の支店もこんな風情のあるものは少なくなった。



尾鷲は港町である。

歩廊に降りると小駅にしては人出が多く感じる。不思議に思っていると、なんと今日は、年に一度の「港まつり」だそうな。どおりで浴衣姿の若者の姿が目立つ。


ビジネスホテルをようやく確保して一服した後、元気にも再度列車撮影に出かける。

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17:30 亀山行き130列車

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最後尾の貫通ホロからうかがえる、車内蛍光灯が風情満点なり!


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名古屋行き特急・南紀6号


尾鷲附近で上り列車を撮った後、下りで九鬼まで戻る。


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ここは山が迫った漁村であるが、鉄道の構内はガランと広い敷地となっていた。


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九鬼界隈はリアス式海岸線が続く交通の難所にして、紀勢線でももっとも開通が遅れた地域だ。

夕闇迫る一寒村に佇むと、虫や鳥の鳴き声が喧しいほど耳に達する。それほど人工的な音がないところである証拠である。

夕風が肌に爽やかに流れ、暑かった今日を忘れさせる。


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DD511036牽引の下り貨物列車

線路のすぐ近くの小川で一人静かに投網をする姿も見受けられ、人通りの全くない駅前にいると・・・思えば遠くに来たものだ・・・との感強し。


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18:40九鬼駅 乗るべき上り松阪行き332列車とDD511036牽引の下り貨物列車(上記のもの)


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夕闇広がる大曽根浦で特急・南紀5号の対向を待つ。



尾鷲に戻ると、駅前から祭りの人波に乗ってメイン会場に向う。

狭い商店街には「行灯コンクール」と称してほの暗い光を放つ行灯にそれぞれ趣向を凝らした絵や詞書きが描かれたものが掲げられ、お盆の精霊流しのような独特の雰囲気をかもし出していた。

メイン会場となる漁港の荷捌き場には、夜店がずらりと並ぶ。

中央の縁台には、市長がマイクを手に張り切って何やらクドクドとしゃべっていたが、それを誰も聞いていない風情がまたしみじみとした趣あり。



夕食を済ませ部屋に戻るが、一日の疲れが出て早々に床に着く。

明日も旅がつづく・・・







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Comment

2010.05.22 Sat 01:23  |  国鉄バス紀南線

紀勢線新宮以東は新宮以西に比べて海岸線の美しさという点では劣るものの、どことなく渋さがありますよね。リアス式海岸を縫うようして掘られたトンネルとトンネルの間の明かり区間から見える海は、オーシャンアローの車窓とは一味違います。
ところで、ファジーさんは「国鉄バス紀南線」をご存知ですか? 昭和34年に紀勢線が全通するまで熊野市~尾鷲間を走り続けたバスなのですが、本来であればバスの通れない険しい「矢ノ川(やのこ)峠」を走るバスとして、今でも伝説の路線として一部のバスファンの語り草となっています。よかったら検索を・・・。

  • #bYLHBN/g
  • 淡島八景
  • URL
  • Edit

2010.05.22 Sat 07:06  |  *淡島八景さん おはようございます

私は、奈良交通の八木新宮線には何度か乗車していますが、この国鉄バス紀南線は存じませんでした。
http://fuzzyphoto.blog120.fc2.com/blog-entry-764.html

調べるとなるほど紀勢線開通までは大切な交通手段であったことがわかりました。
鉄道開通後も昭和59年までは一部のローカル線として残っていたようなので、この旅の途中立ち寄ることも可能だったと思うと残念です。
http://je2luz.exblog.jp/9837344/

2010.05.23 Sun 17:09  |  

そういえば、最近日通の古い建物、急速に見かけなくなったような気がいたします。駅前から日通の看板も姿を消しましたね。
新宮、あまりに遠い存在ですが、もし、五新線が開通していたら、交通地図はどう変わっていたのでしょうね。興味あるところです。

2010.05.23 Sun 21:20  |  新鹿

大学時代のバイト先の大将が釣り好きで、新鹿によく行ってたので、夏には何度か行ってました。
有名な撮影地にも行きましたし、釣り宿の窓の向こうにキハ58なんぞ走っておりました。

五新線ができても、客は少なかったでしょうね。沿線全て山ですから。
ただ、大阪~新宮を国道168号線経由で走るトラックは結構あるようですが。

2010.05.24 Mon 09:13  |  *のりさん そうでしょ

最近では駅前にあった木造の日通事務所はほとんど淘汰されたと思います。
駅前という立地条件の良い場所ですから、別の用途に利用されるのでしょう。
国鉄・五新線が完成していたら、熊野三山へのアクセスがよくなりますので、熊野古道ブームに拍車がかかったでしょう。
井笠鉄道のように何かの拍子に見直されることは・・・ないのでしょうね。

2010.05.24 Mon 09:17  |  *なにわさん 新鹿ですか・・・

大阪からみれば、新鹿・尾鷲なんて、地球の裏側のような、一種の秘境みたいな
感覚がします。
この旅行で初めて訪れましたが、それ以降四半世紀訪れていませんね。

若い頃といえども、よく通われましたね。

2010.05.24 Mon 23:26  |  

タブレット受器、いいな~。
小さい頃、八高線の駅にあったような…しかし、今は写真でしか見れません。。(>_<)

  • #-
  • うたに
  • URL

2010.05.25 Tue 00:38  |  私が通ったわけではありません

国道169号線で奈良から熊野市まで4時間ほどでしょうか。

彼は23時ぐらいに出発してしょっちゅう行っていたのですが、私は乗っていただけです。

2010.05.25 Tue 12:49  |  *うたにさん こんにちは

タブレット受け器・・・日本全国何処のローカル線に行っても見られた設備でしたが、
見たことのない現在の若者には解説するのも大変です♪

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 阿房(あほう)と云ふのは、人の思わくに調子を合はせてさう云ふだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考へてはゐない。
 
 用事が なければどこへも行つてはいけないと云ふわけはない。
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長崎の鴉・・長崎阿房列車

段段車窓が薄暗くなり、汽車が次第に濃ひ夕闇へ走り込んで行く時に聞く汽笛の響きは、鼻へ抜けたかさ掻きのやうな電氣機關車の聲よりも、蒸氣機關車の複音汽笛が旅情に相應しい。


          


  いつの間にか窓が眞暗になり、窓硝子に響く汽笛の音が、蒸氣機關車C62の複音に變つてゐる。


          
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